全米が沸騰した「狂言誘拐」急転直下の全真相 疑惑のカップルが日本メディアに初告白
被害者と見られていた美男美女が「狂言誘拐」の犯人だった。警察の会見を受けてメディアの報道は一気に加熱する。大騒動へと拍車をかけたのは、FBI捜査官が口にした当時の大ヒット映画『ゴーン・ガール』との類似点だった。
妻が誘拐事件を自作自演し、夫に殺人の嫌疑がかかるというストーリーが、この話題のミステリー映画とそっくりだったことからリアル版『ゴーン・ガール』としてニュースが世界を駆け巡る。テレビの人気司会者、ナンシー・グレースも疑惑の2人による狂言誘拐を特集、メディアはデニースとアーロンを激しく非難し、ツイッターには「狂言誘拐」のハッシュタグが作られ、ネット上は2人への誹謗・中傷で埋め尽くされることになる。
厳しい世間の目にさらされ、外出もままならず、2人は半ばクビ同然で勤めていた病院を追われた。事件の現場となった自宅も売却することになり、2人は実家に身をよせ、引きこもりのような日々を送る。職を失い身分を証明するものもなく、預金もクレジットカードも警察に差し押さえられた。2人はこれまで築いてきたすべてのものを失ってしまった。
真犯人の逮捕 無実が証明されるも…
事件発生から2カ月が過ぎたある日、バレーホ市警がデニースとアーロンの追及を続ける中、バレーホ市から70kmほど離れたアラメダ郡で、ある男が逮捕された。
男は、6月5日深夜に住宅に押し入り、若い女性を連れ去ろうとするが、凶器による脅しに屈しなかった父親の予想外の抵抗にあい現場から逃走。その際、携帯電話を置き忘れるミスを犯したのだ。この携帯電話の所有者を辿り、1人の男が容疑者として浮上。6月8日に家宅捜索に踏み切り、男を逮捕した。
深夜、ボディスーツを着込み住宅に押し入る。スタンガンと拳銃を突きつけて若い女性を連れ去ろうとする。
「アーロンが証言するデニース誘拐」と重なる犯行手口。それに気づいたのは、男を逮捕したカンポス保安官の妻だった。夫が担当する事件の話を聞くうちに「2カ月前にメディアを騒がせたリアル版『ゴーン・ガール』の証言内容とそっくりだ」と指摘したのだ。
そして、男の部屋からは、目隠しされたゴーグル、水鉄砲とペンライトで作った偽の凶器など、デニース誘拐犯を名乗る男から新聞社に送られてきた“証拠写真”とまったく同じ物証が続々と見つかった。
カンポス保安官は、すぐにバレーホ市警に連絡。男の家で見つかった証拠品を見せると、バレーホ市警は「なんてこった」と衝撃を受けていたという。警察に狂言誘拐と断定されたデニースとアーロンの無実が証明された。
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