全米が沸騰した「狂言誘拐」急転直下の全真相 疑惑のカップルが日本メディアに初告白
デニース誘拐の翌日、サンフランシスコ最大の新聞社で事件取材を担当するリー記者のもとに1通のメールが届く。差出人のアドレスは、アーロン・クイン。そのメールには「明日、彼女を解放する」というメッセージと共に39秒の音声ファイルが添付されていた。
「私の名前はデニース・ハスキンズです。私は誘拐されていますが元気です。きょうアルプスで飛行機事故があり、158人が亡くなりました」。当日のニュースを語るデニースの音声。デニースが生きている証だった。
しかし、突然誘拐された被害者にしては落ち着きはらったデニースの声に、リー記者は、強い違和感を覚えたという。
その後も「犯人」は新聞社と警察に「自分が真犯人だ」と証明するべくデニース誘拐時に使った“凶器”など複数の証拠写真を添えてメールを送りつけた。
しかし、警察の見立ては何も変わることはなかった。警察は、アーロンが時間設定機能を使いメールを送信したと見ていた。
デニース解放と警察が発表した「狂言誘拐」
このメールが届いた翌朝、誘拐事件発生から54時間後に事態は急展開する。誘拐されたデニースが姿を現したのだ。そこは連れ去られた自宅から650kmも遠く離れた場所。デニースの実家だった。
無事に保護されたデニースは意外な証言を繰り返す。「ケガはなく病院へは行かない」「犯人の顔は見ていない」。身代金は支払っていないのに解放されたデニース。何かを隠しているような態度にFBIは不審を抱く。
そしてFBIが用意した移送用の飛行機にデニースは現れなかった。被害者であるデニースが、なぜか失踪したのだ。
その夜、バレーホ市警はメディアを集め緊急会見を開く。「これからは2人を事件の被害者、目撃者として扱いません。2人の主張は証明できない。これが捜査の結論です。24時間態勢で行った捜査が無駄なものだったと想像してください。途方もない損失です」。バレーホ市警の広報官は怒りをあらわにして、この事件はデニースとアーロンの自作自演による「狂言誘拐」と断定した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら