GMとクライスラー 合併構想は砂上の楼閣

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合併構想がにわかに浮上した米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラー。現時点で両社とも公式コメントを出していないが、複数の米国メディアが水面下での動きを報じている。

最大の目的はリストラの加速と見られる。合併でトヨタ自動車を突き放す世界最大の自動車メーカーとなれば、全米自動車労働組合(UAW)への発言力も増す。部門の統廃合などで人員削減を行えば、合理化効果は100億ドルになるとの見方もある。

しかし、「GMだけでもブランド数は過剰。クライスラーの3ブランドを足し合わせる効果は非常に薄い」(米調査会社のグローバルインサイト)と、経営不振に陥ったメーカー同士の合併構想に否定的な専門家は多い。そもそも、GMは売り上げの約6割、クライスラーは9割を北米市場で稼いでおり、販売エリアの補完関係を築くことはできない。車種においても重複が多い。クライスラーが大型SUV中心のブランド「ジープ」を展開する一方、GMも競合ブランドの「ハマー」を保有する。また、大型セダンでも、「クライスラー」とGMの「キャデラック」は長年のライバルだ。

両社が主戦場とする北米市場は、販売台数が11カ月連続で前年同月比を割り込んでおり、まさに底なし状態にある。そうした中、相乗効果を見いだしにくい“粗悪”な合併構想の報道が先行するのは、GMやクライスラーの窮状をあらためて浮き彫りにしたものといえそうだ。

(西澤佑介 =週刊東洋経済)

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