石破茂が指摘する「日本に必要な鉄道政策」

人口減少社会でも地方鉄道は活性化できる

──北海道では鉄道の存続に向けた話し合いが進みつつあります。

北海道に行くと、「鉄道どうするの?」「宗谷本線を廃止するなんてとんでもない」っていう話がある。国鉄からJR北海道に移行したときに基金を積んだので、それを運用して赤字を補塡しなさいということだったんだけど、今は金利水準がほぼゼロになった。運用益が出ないのに「JR北海道、頑張りなさい」っていうのは、それはちょっと酷です。その部分は国がみるべきだと私は今も思っています。でも、国民の税金で補塡をするとなると、「誰も乗らない鉄道に国民の税金を使うのか」という話が必ず出る。

では、どうやって北海道の鉄道を維持するか。いろいろなやり方がある。たとえばドイツのルフトハンザ航空は「ルフトハンザエクスプレス」という名前で、鉄道も運行している。空港を出たら、そこからルフトハンザが運行する快適な列車に乗るという商売があるわけです。JALもANAもそんな商売はやってない。つまり、JR北海道に財政的な余力がないなら、他の事業者がJR北海道の線路を使って商売するというやり方は、私はあるはずだと思う。

今の新千歳空港駅はホーム1面、線路2本しかないので、札幌とのシャトル便でダイヤは目いっぱいです。そうすると飛行機で新千歳空港に着いて、そこから釧路や網走に行きたい人は南千歳まで1駅行かなきゃいけない。冬の北海道の寒風吹きすさぶ中で荷物を持って待ってないといけない。だったら新千歳空港駅にもう1本ホームを造って線路を2本付けて空港を降りたお客様がそのまま北海道を走る特急列車に乗れるようにすればいい。

集客のネタは日本中にある

こういう利用客を増やす知恵を総動員しないで、「国になんとかしてほしい」ではどうにもならない。いすみ鉄道の鳥塚亮社長は「乗って残そう、何とか線、なんぞもってのほかだ」と話している。「そんなことを言って残った鉄道なんか一つもない。用もないのに誰が乗るのか。乗りたくなる鉄道、乗りに来たくなる地域を作るのが地元の仕事だ」とね。私もそう思う。

鉄道ファンとしての知識だけでなく、その鉄道論は示唆に富む(撮影:尾形文繁)

えちぜん鉄道は切符の自動販売機やバリアフリーの車両を買うカネがない。それで、女性のアテンダントが車内で切符を売ったり、高齢者やハンディキャップのある人のお世話をしたりする。そのアテンダントさんは観光案内もしていますよ。それでリピーターが増える。

JR九州の「ななつ星 in 九州」は、それ自体はたぶん赤字でしょ。でも、宣伝効果たるやすごい。唐池(恒二)さんの執念を感じる。世界一の列車、サービス、九州一おいしい米、肉、魚……。ダイヤが許すかぎりゆっくり走って、大村湾の夕日を見るとかね。「今だけ、ここだけ、あなただけ」っていうサービスを目いっぱい詰め込んでいるじゃない。こういうネタは日本国中にあるんだよ。

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