石破茂が指摘する「日本に必要な鉄道政策」 人口減少社会でも地方鉄道は活性化できる

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――北海道にも観光列車を造ろうという声がありますが、ひとつのやり方として有効ですか。

私は高校生のときに初めて北海道に行ったが、本州以南とは景色がまったく違う。その感動は今も忘れない。四季、自然、食べ物……、人の感性を震わせる要素は北海道がいちばん持っている気がします。北斗星もカシオペアも廃止になりましたが、どのルートを走らせ、どのようなサービスを提供すれば人が喜んでくれるかを徹底的に考えれば、北海道の鉄道にはまだまだ余力がある。

でもね、JR北海道はかなり厳しいところからスタートしているわけで、かわいそうなところが多い。そのJR北海道に「君たち、のびのびとした発想で自由に考えてごらん」と言っても、毎日の列車を走らせるのが精いっぱい。ですから、JALやANAのようなまったく違う事業者が入ってくることで違う商売のやり方があるんでしょう。

──新幹線建設については各地で期待があるようです。

私は山陰新幹線の立場。山陰の日本海側って、新幹線もつながっていないし、高速道路もつながっていない。昨年の衆議院選挙の応援演説は、まず新潟1区、次の日が秋田1区っていう日程だったんだけれど、どうみても、1回東京に戻るほうが早いんだ。間に山形を挟むだけなのに……。

私の鳥取1区から竹下(亘)さんの島根2区に行くのは、隣の県なのに、どう考えても1回羽田空港に出たほうが早い。上越新幹線と北陸新幹線はうまくつながってないし、在来線も減っている。やっぱり青森から下関までつなぐ新幹線って必要なんだよね。

低コストで新幹線を建設する方法を考えよう

新幹線網の充実についても持論を展開(撮影:尾形文繁)

とは言っても、四国や山陰にフルスペックの新幹線を入れたくても財政的に無理に決まっている。どうすればコストを下げられるかということを先に考えないで、気宇壮大なことを言っても仕方がない。

山形新幹線や秋田新幹線を造るのに大変な努力があったことも知っているが、やっぱり在来線軌道を走る新幹線には限界がある。かといって1時間に何本も走る線ではないと思う。単線の新幹線っていうのは考えられるのかな。それだと建設費はいくら下がるのか。架線が不要な燃料電池による新幹線は可能なのか。フルスペックの新幹線は財政的に無理でも、うまくコストが下がる方策があればいい。

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