イケアが低迷の果てに赤字転落した根本理由 なぜニトリとここまで大差がついたのか?

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その背景としてECへの出遅れが指摘されるが、ニトリとて前年から35%も伸ばしたとはいえ305億円とEC比率は5.33%に過ぎず、経済産業省EC統計における雑貨・家具・インテリア分野のEC比率18.66%(16年)と比べれば出遅れを否めない。

イケア・ジャパンに至っては17年4月からようやく公式オンラインストアを立ち上げてECに参入したばかりで、全国12店の店在庫からピッキングして各店の配送エリア内に対応する初歩的な体制に留まり、愛知県弥富物流センターを拡張してEC対応のフルフィル整備を急いでいる段階だ。

今まで長きに渡ってECを否定して来店持ち帰りにこだわり、数多のエセIKEAサイト(実質は購買代行業者)が乱立する状況を放置してきたツケは致命的で、いまだAmazonにも楽天にもヤフーにも購買代行業者のIKEA商品が氾濫する中、『本家「IKEA」のECサイトです』と言っても混乱は当分収まらないだろう。

イケア本社も遅ればせながら15年6月にマルチチャネル戦略を発表して戦略転換に踏み切っているが、遅きに失した感は否めない。日本市場では既に手遅れではないか。

セルフサービス神話が足枷となった 

イケアがECを否定してきた要因は店頭販売への固執で、コーペラション(協働)思想に基づく顧客の労働分担というセルフサービス神話が背景にあったと思われる。

船橋のイケア。2006年に日本上陸1号店として開業した(撮影:尾形文繁)

イケアは『顧客が店内物流も持ち帰り物流も製品組み立て労働も負担するから安く提供できる』というロジックで成長してきたが、オムニチャネル消費の利便が加速度的に高まる今日、その重い労働負担が顧客を遠ざけるようになったのではないか。

流通業界では『顧客が労働を分担する分、割安に売れる』という“セルフサービス神話”がいまだ健在で顧客に労働分担を強いることが当然とされるが、オムニチャネルな利便が競われる今日、もはや神話でしかない。過渡期のギミックでしかないセルフレジが強引に導入されるのもセルフサービス神話が背景にあるからだ。

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