セブン「オムニ減損」でネット戦略を大転換 立ち上げからわずか2年半、現実路線に回帰

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就任から約2年を迎える井阪隆一社長。リアル店舗を軸としたデジタル戦略へと舵を切った(記者撮影)

目下、会社側が掲げるネット戦略のキーワードは「CRM(顧客関係管理)」だ。6月からはコンビニの「セブン-イレブン」や総合スーパーの「イトーヨーカドー」を皮切りに、各業態ごとに使えるスマートフォンアプリを順次立ち上げる。アプリを使った買い物に応じて、クーポンの配信などを行う。顧客の購買行動をリアル店舗でも把握、新しいサービスにつなげる狙いだ。

デジタル戦略推進本部長を務める後藤克弘副社長は「単品管理ではわからなかった、個々の顧客の動きが捕捉できる」と語る。

「もうアマゾンと対抗しない」

「小さく生んでPDCA(計画・実行・評価・改善)を高速で回せ」。井阪社長は社内でそう繰り返す。

その実例が2017年10月から北海道の小樽地区で始めたネットコンビニ。対象地区のセブン-イレブンの店頭にある商品をネットで注文、自宅で受け取れるサービスだ。顧客の要望を聞きながら、地道にサービス内容を改善している。今年度中に北海道全域の約1000店に広げる構えだ。 

競合に目を移せば、ウォルマート傘下の西友は楽天と組んでのネットスーパー運営を表明。イオンはECベンチャーに出資をするほか、IT・デジタル・物流の3分野に今後3年で5000億円を投じる。

他方セブン&アイは、オムニセブンは続けるものの、1日2200万人が利用するリアル店舗を軸とした戦略へ転換する。「もうアマゾンと対抗しようとは考えていない」(別の関係者)。ただ、CRMに目新しさはない。ネット戦略でどこまで存在感を出せるか。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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