30代共働き夫婦が悩む2人目の子ども問題 1人目は勢いでも「次」は「複雑な事情」が絡む

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夫婦仲がギクシャクしている理由を聞いてみると、「私は、3人の生活にすごく満足しているのですが、夫が2人目の子どもが欲しいと言い出しまして……。適当にあしらっていたのですが、『本気度』がとても高くて。私はむしろ今のままがよくて……」と言うのです。

一般的には、日本では育児や家事はまだまだ女性が担う傾向にあるので、A子さんの気持ちもとても理解できます。仕事と家事、育児の両立は想像を超えるほどハードですが、もう1人子どもが加わるとなると、自分の時間を取れないので、確かに前向きにはなれないかもしれません。

一方、A子さんの夫は自分が1人っ子で育ったので、子どもには兄弟をつくってあげたいという思いが強いそうです。今までは仕事好きのA子さんに遠慮してなかなか言い出せなかったようですが、A子さんが35歳になったことで年齢を考え、いよいよ「2人目について真剣に考えなくては」と思い始めたということです。

このように、夫婦間で2人目の子どもについてのモチベーションがあまりにも差があり、最近は何かにつけてけんかをするようになってしまったのです。そこで、A子さんは、夫を説得するための策を考え、筆者のところにやってきたのでした。

生い立ちからくる「トラウマ」があった

しかし、いろいろ聞いてみたのですが、A子さんの家庭は年収も高く、娘さんの教育におカネがかかっている以外は堅実に暮らしているので、もし2人目ができても、家計は破綻しそうにありません。

そこで「A子さんには育児の負担が重いということ以外に、拒否する何か特別な理由がありそうだ」と思ったので、「何か心配ごとがあるのではないですか?」と思い切って聞いてみました。

すると、A子さんはこういうのです。「実は、私は3人姉妹の末っ子なのですが、姉は2人とも中学校から私立に行っていて、大学もちゃんと卒業できて、不自由のない暮らしをしていたんです。ところが、姉たちにおカネを使いすぎたようで、3番目の私はずっと公立で、しかも『大学に行かせるおカネはないから早く就職してほしい』といわれ、進学を断念しました。そこで『手に職をつけなくては』と思って、奨学金をもらいながら専門学校にも通い、医療系の今の仕事につくことになったんです」。

A子さんは続けます。「洋服も姉たちはいつも新品でかわいいものを着ていましたが、私は姉たちのお下がり。ひどいときには、穴のあいた靴下を履いていました」。このように夫は「1人っ子だったから2人目が欲しい」でしたが、A子さんは真逆で、「姉妹で嫌な思いをしたから、1人がいい」との主張だったのです。

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