中央線「グリーン車」導入に立ちはだかる難問

東京駅での短時間折り返しをどう実現するか

12両化対応駅ではホームの延伸が実施される。グリーン車が2両挿入されることによって先頭車両の位置がホームの両方向に1両分20mずつ、あるいは片方向に2両分40m、中心側から離れる事態となる。島式構造のホームでは、先端が非常に細い形状となっている場合も多い。狭いホームは乗降に不便で整列して列車を待つことも困難だし危険ですらある。また、ホームの広い中間部をグリーン車が占領することで、その両隣の一般車両に乗客が殺到して部分的な混雑度悪化も懸念される。

グリーン車は先頭・最後尾という編成端部への連結が望ましいと考える人もいる。JR四国のマリンライナーの2階建てグリーン車(一部は一般車指定席)のような車両などを想定すれば可能であろうが、運転席付き車両を新造する手間は容易ではない。むしろ東京寄りの2、3号車挿入としてラッシュ時の女性専用車両に隣接させるなども方策の一つかもしれない。

分割編成でも難問が

御茶ノ水駅ではバリアフリー工事が実施中(写真:jyapa/PIXTA)

今回の発表では44駅のホーム改良が想定されており、この駅数は青梅線の青梅までの全駅と大月までの中央線快速停車駅全駅の合計に一致する。つまり、緩行線である各駅停車駅の水道橋や千駄ヶ谷、東中野などを除いた数である。現状の快速停車駅のホーム延伸工事はかなりの困難を伴う。緩行線の各駅についても困難さは同様だろうから経費抑制のために除外されるのかもしれない。現状では快速用のオレンジ帯車両が早朝深夜には緩行線で走っているが、12両化後にはこうした運用はなくなることが予想される。

中央特快の河口湖行きは6両、4両の分割編成となっている。大月駅で新宿寄りの6両を切り離して4両編成で運行する。おそらく12両化後は、グリーン付きの新宿寄り8両を大月止まりとして、従来通り4両が直通するだろう。だが、この8両と4両は残念ながら走行中には編成間を移動できない。河口湖行き4両の乗客がトイレに行きたくなった場合は、途中駅でホームに出て別の編成に乗り換えて8両編成側のトイレを利用することになろう。青梅線系で土休日に運行されるホリデー快速「あきがわ」(武蔵五日市方面)、「おくたま」(奥多摩方面)も同様の事態が起こりうる。

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