安倍政権がはまった「公文書疑獄」の底なし沼

「天網恢恢疎にして漏らさず」との声も

一連の公文書スキャンダルが政権を直撃していることで、政局も一段と不透明感を増した。そうした中、永田町に波紋を広げたのが、政府と自民党の大黒柱として政権を支える麻生財務相と二階俊博幹事長の10日夜の会談だ。両氏は党内第2派閥の麻生派と第5派閥の二階派の領袖で、政局運営のキーマンでもあるからだ。

都内の料理店で両派幹部も交えて会談した両氏は、「もり・かけ」や「イラク日報」問題で安倍政権が動揺している現状について「力を合わせて難局を乗り切る」ことを確認した。両氏はこれまで、9月の党総裁選での首相の3選を支持する立場を明確にしており、その点でも突っ込んだ意見を交換したとみられている。

ただ、党内では両氏について「状況次第で、いつでも対応を変える」(岸田派幹部)との声も少なくない。特に二階氏は「政界の絶滅危惧種」(自民長老)とも呼ばれる寝業師として知られるだけに、「今は首相に恩を売ろうとしているが、3選が困難になればさっさと変身する」(同)との見方も多く、10日の会談でも双方の思惑が異なるままでの「協力確認」とみられている。

政権危機の指標ともなる内閣支持率もここにきて続落している。大手メデイアが実施した最新の世論調査ではそろって「支持」と「不支持」が逆転し、「不支持」が上回っている。特に不支持の理由では「首相が信頼できない」が圧倒的多数で、一連の文書スキャンダルなどで国民が首相自身への不信感を強めていることがわかる。首相周辺も「支持率が3割を切って危険水域に入ると、政権危機が深刻化する」(政府筋)と眉をひそめる。

「黒い霧」の歴史踏まえた解散断行論も

そうした中、党内の一部からは「衆院解散で一気に態勢を立て直すべきだ」との物騒な声も出始めている。佐藤栄作政権時代の1966年のいわゆる「黒い霧解散」で当時の佐藤首相が政権危機を脱した歴史があるからだ。首相周辺では「野党がバラバラの現状で解散すれば、自民党の議席は微減にとどまる」との強気の読みも出ている。しかし、「死なばもろとも」(自民幹部)ともみえる解散断行論には「二階幹事長や菅官房長官が、首相を羽交い絞めしてでも止めるはず」(同)との声も多い。

首相は11日の集中審議での野党側の厳しい追及に、時折興奮する場面もあったが、ほとんどは「答弁メモ」を読み続けることでじっと耐えた。野党の質問が報道を引用した繰り返しばかりで、首相の固いガードを崩せなかったことも審議が盛り上がらなかった原因だ。

与党内からは真相解明のための、「森友・加計問題等特別委員会」や国会での「特別調査委員会」の設置を求める声も上がっている。ただ、過去の例をみても「時間稼ぎにしかならない」のも事実。手練手管で真相解明を先送りにすれば政権への国民の不信は拡大し、結果的に第1次安倍政権の崩壊という11年前の悪夢の再現ともなりかねない。

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