日本株が上昇に転じたといえる「重要な証拠」 「ダウ理論」で見ると2月や3月と様相が異なる
日本株が4月に入って戻りを強めつつある。米中貿易摩擦や中東情勢への警戒感がくすぶっているものの、海外勢の日本株売りも一服してきたようだ。売買動向や売買代金に目を移すと、日本株反騰を示唆する「サイン」もみられる。すでに東京や関西などでは桜は散ってしまったが、株の世界にはようやく「遅咲きの春」が来るのか。需給面から日本株の見通しを探ってみた。
4月の海外勢の「買い越し額」は平均7600億円
まず、日本株が下がりにくくなっている理由の一つは、日銀マネーが日本株の下値を拾っていることにありそうだ。日銀は金融緩和政策の一環として上場投資信託(ETF)を年6兆円買い入れしている。単純に12カ月で割れば月あたりの平均買入ペースは月5000億円だ。それに対し、今年3月の買い入れ額は8333億円(ETF+新型ETF)と過去最大に達した。
今年1~3月で見ても買い入れ累計額は約1.9兆円とハイペースだ。なお、足元までの日銀のETF残高は約24兆円に達している(うち含み益はなんと5兆円相当)。東証1部の時価総額(2018年3月末646兆円)の4%弱を保有する大株主となり、株式市場での日銀依存が高まっているのは気に掛かる。だが、この4月に2期目へ入った黒田日銀総裁は、現在保有するETFの処分時期について「今は検討する時期ではない」との考えを示している。
他方、海外勢の日本株売りも一服してきた。今年に入って海外勢の売り越し額は計2.6兆円台(現物)に達していたが、3月第4週(26~30日)に少額ながらも12週ぶりに買い越しとなった。海外勢は配当金等の権利が発生する3月に売りを一時的に膨らませることがある。一方で税制上の理由から配当権利落ちしたのち、新規資金の買いや配当金を再投資する傾向がある。こうした背景からか、4月は海外勢が日本株を17年連続で買い越している。なお、同期間における海外勢による4月の平均買い越し額は月7600億円」。これは、前述の日銀のETF買い入れペースである「月5000億円規模」を大きく上回る。
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