子どもの話し方や態度に腹が立つことがあれば、まず母親自身の態度を見つめなおしてください。子どもにそんな態度を取っていないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、子どもに対してだけではなく、夫やそのほかの家族、身近な人への接し方はどうでしょうか。
子どもの多くは、母親の態度や口調をそのままコピーしています。ですから、それを注意することで改めさせようとするのは、逆効果です。どんどん悪循環にはまっていきますので、注意が必要です。母親が、意識的に自分の言動を改めていくことによって、自然に改善される傾向が強いので、「そんな言い方してはダメ」「その態度は、何なの!」という前に、母親自身の言動を振り返ることが大切です。ご自身でも気づかなかった、ちょっとした癖や言い回し、態度などを再認識するきっかけにもなります。意識することができれば好循環が起こり、子どもだけでなく、身近な人間関係もよい方向へ変化していくと思います。
それ伝わってますか?
「いつも言っているのにやらない」「何度言ってもダメ」。こんなお悩みもあるかと思います。でも、残念ながらそれは伝わってません。たとえば「ちゃんとして」という声掛けを電車の中などでもよく耳にします。
「ちゃんとする」っていったい何でしょう? こういった表現の仕方を「曖昧表現」といいます。お互い何となくわかっているつもりになるけど、実はすれ違う可能性が高い表現方法です。具体的にどうすればよいのかというやり取りがいっさいなされていません。ということは、自分の思いだけで発している言葉であって、相手には伝わらないのです。「足をバタバタ動かさないようにしてね」「しっかり手すりにつかまってね」など具体的に伝える必要があります。
また、「ちょっと待って」の「ちょっと」とはどのくらいの時間なのでしょうか。5分、10分、15分……人によって時間感覚は違います。「ちょっと待って」と声掛けしたのに、すぐ騒ぎ出す子ども。「ちょっと待っててって言ったでしょ!」と怒るママ。もう、子どもにとっては「ちょっと」の感覚を過ぎているわけです。
パン屋さんで、店員に「まもなく焼き上がりますので、少々お待ちください」と言われて、2~3分を想定していたのに10分待たされたら、イライラするのではないでしょうか。しかし、「焼き上がりまで10分かかります」と言われたら、10分待てますよね? これを「時間の構造化」といいます。
どのくらい要するのか具体的に伝えることが大切です。時計の読める年齢はもちろんのこと、読めなくても伝えてください。繰り返すことによって読めるようになります。このような感覚に左右される曖昧表現は、たくさんあります。思いを伝えるためには、具体的な言葉を使うことが鉄則です。
さらに、騒がしい子どもに、母親自身も大きな声で「静かに!」と言っている場面もよくあります。言っていることとやっていることが大きく矛盾しているので、受け止める側は、とても難しいです。伝えたい内容と、伝える態度を一致させましょう。
具体的な言葉で、シンプルに穏やかに伝えることができれば、しつけはグンと楽になります。今までのかかわりを一気に変えることはできないかもしれませんが、かかわり方を意識すれば、じわじわと確実に好転してきます。するとママのイライラも減り、さらに穏やかに、忍耐強くかかわることができるようになります。
わが子をほかの子と比べるよりも、もっと大切なことに目を向けて、心身ともに健やかな成長をサポートし、信頼と愛情にあふれた母子関係を築く一助にしてくださることを願っています。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら