テレビ・新聞が慌てた「放送法4条騒動」の不毛 映像コンテンツ振興策を考えるべきなのに…

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技術革新により、通信と放送、国内と海外という2つの境界が曖昧になってしまった。では、「放送」「国内」という境界の中で守られてきたテレビ局はどのように対応すべきなのだろうか。

内閣府の規制改革推進会議は、こうした規制市場に、未来に向けて新しい枠組みを提案するのが役割。昨年から、議題に上がっている放送市場についての議論も、こうした海外の動きなどに呼応した前向きなものだったのだが、3月中旬に「放送法4条を撤廃することを検討している」といった報道が急増し、何か変な空気に変わっていった。

日本の放送をグローバルで競争力あるものにするにはどうしたらいいのか。そのために、通信と放送、国内と海外という2つの境界を定めていた規制は緩和したほうがいいのか、しなくてもいいのか。

重要な論点はここにある。放送番組の強みは、ハード・ソフト一体運営にある。災害時などの緊急放送はハード設備を持っているからこそ迅速に実現できる。しかし、当然ながらグローバルで競争力を持つには、海外市場で受け入れられるコンテンツが必須だ。そうであれば、そのコンテンツを配信する共有のプラットフォームを構築するというアイデアが出てくるのが自然だ。

2月7日に行われた規制改革推進会議の会合で、中村伊知哉・慶應大学大学院教授は、コンテンツの配信プラットフォームの事例として、radikoや吉本興業が運営する「大阪チャンネル」などを挙げた。また、菊池尚人・同大学院特任教授は「FLATCAST」という配信プラットフォームの実証実験を紹介した。

必要なのはコンテンツ振興策

中村教授は、ハード・ソフト分離などを可能にした2011年の法整備で「法律問題はほぼ片づいたと思っております」と述べている。その上で、必要なのは放送局などが海外や新たなプラットフォームにかかわるための「振興」策ではないかと指摘している。

また、吉田晴乃委員(BTジャパン社長)は、3月8日の会合でこう発言している。「2年後のオリンピックを見据えて何か考えておられるビジネスはありますか。多分すごく大きな変化が起こると思うのですが、その中で、それに間に合うように実施して欲しい規制の緩和であるとか何かございますか」。

こうした問題意識と視点こそ、21世紀の日本のメディア・コンテンツビジネスを牽引するものと言えるだろう。

ところが、3月15日に共同通信が「放送法4条などの撤廃」を含む「安倍政権の放送制度改革方針案」を報じてから、雲行きが怪しくなってしまった。大手の新聞社やテレビ局が一斉に反発し、規制改革推進会議批判を始めたのだ。

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