そごう・西武百貨店の6役員が一斉退任、親会社セブン&アイとの深い確執

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規模のシナジーを求めるセブン&アイに対し、佐野氏の主張はあくまでも、「百貨店は個店仕入れが原則。量販店の商品施策から得るものはない」。グループの経営会議の場でも、議論は平行線、溝は深まるばかり。経営陣もしだいに、佐野氏の意見に同調するグループと、伊勢丹出身者中心の彼らを「占領軍」と見なす反佐野派に分かれていったという。

今年7月にも佐野氏は、セブン&アイに足を運んでいる。百貨店として、量販店とは違う独自の意義を確立する必要性があることをあらためて訴えるためだ。

が、辞任に追い込まれるのはそのわずか2カ月後のこと。佐野派の役員たちにとってもこれは、寝耳に水。実際、佐野氏が推し進める改革は、現場の若手を中心に浸透し始めていた。若い社員が池袋店の改装について新たなコンセプトを持って提案してくるなど、現場は確実に往年の活気を取り戻しつつあったという。佐野氏のやり方は決して間違っていないとの思いを持っていた役員らにとっては、もはや指揮官を失った会社に居続ける意義を見いだせなくなったのだろう。佐野氏に続いて、彼らも次々と辞任を申し出た。

だが一方で、セブン&アイ傘下での限界を感じたミレニアムが、水面下でグループからの離脱を画策していたという話もある。銀行を介してほかの提携先を探していたともいわれる。100%子会社の離反となれば、グループとしての管理責任が問われる。突然辞任の背景にはこうした動きも少なからず影響したようだ。

シナジー追求を本格化“セブン流百貨店”

佐野氏および5人の役員たちが去った後のミレニアムリテイリングでは、それを待っていたかのように「グループシナジープロジェクト事務局」なるものが新設された。セブン&アイとの連携強化に向け、いよいよ体制を整えたというわけだ。今回のシナジープロジェクトではたとえば、ミレニアムのデパ地下総菜でグループの製造ラインを利用する。業務管理システムの統合も行う。これまであまり行われていなかったグループ会社間での人事交流も盛んに行われるようになるだろう。

百貨店営業のプロがあれほど拒んで譲らなかったグループ内連携で、ミレニアムリテイリングはこの業績低迷を脱することができるのか。百貨店が売り上げ不振で軒並み苦戦を強いられている中、「セブン流百貨店」の手法に業界内外から注目が集まる。


(田邉佳介 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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