元日本代表・加地亮、カフェで働く男の充実感 ロシアW杯に挑む後輩に「今をやり切って!」

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加地夫妻が営業している店ということで、「CAZI CAFE」にはガンバや岡山のサポーターが足を運ぶことも少なくない。そういう人たちのいる前で、加地は皿洗いに精を出す。10年前は日の丸をつけてスポットライトを浴び、つい昨年まで大勢のファンにサインや写真を求められていた男が、下働きをする姿を見せるのは勇気のいることかもしれない。

那智さんも「アッ君、恥ずかしくないの? 大丈夫?」と尋ねたことがあったようだが、加地は「全然、大丈夫」とさわやかな笑みをのぞかせたという。

縁の下から支える役割は今も同じ

「サイドバックだった自分はピッチ上でも他の選手を縁の下から支える役目を担っていました。今は働く場所がカフェに変わったけど、やっていることはまったく同じ。今は山のように積み上がる皿を見るだけでアドレナリンが出てきます(笑)。

店の裏側まで案内し、快活な笑顔も見せてくれた(筆者撮影)

それを効率よく洗って、拭いて、棚に戻す作業にもノウハウがいる。それを体得するのも日々の積み重ね。20年間プロ生活を送ってきた自分にはよくわかります」と彼はしみじみと語る。

飲食業という未知なる仕事に就いたことで、加地亮の人生には新たな広がりが生まれつつある。

将来的には、那智さんの実家・大倉荘を継ぐことも視野に入れている。

淡路島には2002年日韓ワールドカップの時にイングランド代表が事前キャンプで練習場として使った兵庫県立淡路佐野運動公園サッカー場もある。こうした施設を有効活用しながら、地元にお客さんを呼び込み、サッカーを盛り上げるような取り組みを夫が手掛けてくれれば理想的だと那智さんは考えている。

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