元日本代表・加地亮、カフェで働く男の充実感 ロシアW杯に挑む後輩に「今をやり切って!」

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「僕はJクラブや学校の監督や指導者をやるつもりはないけど、淡路島でサッカー教室のイベントを開いたり、いろんな人たちをつなぐ拠点を作れたら理想的かなと思っています。

12年前、ドイツワールドカップで戦っていた元日本代表DF加地亮は後輩たちにエールを送った(筆者撮影)

引退した後、Jリーグ新人研修で話をさせてもらったり、テレビに出させてもらったり、店の仕事と並行してサッカーにも携わらせてもらっていますけど、自分を育ててくれたサッカーに恩返しすることも大事なこと。そういうチャンスがあれば、これからも頑張っていきたいですね」と加地本人も目を輝かせる。

ロシアでは悔いのない戦いをしてほしい

第2の人生はまだ始まったばかりだが、彼も言うようにサッカーとのかかわりはこの先も持ち続けていくつもりだ。元チームメートも加地夫妻のもとをしばしば訪れている。日々の戦いで精神的にもピリピリしがちな彼らにしてみれば、癒やし系の加地に会えるのは有難いはず。6月のロシアワールドカップに参戦する可能性のある選手もいるだけに、2006年ドイツワールドカップの喧騒を経験してきた男には、この時期の後輩の胸中はよく理解できる。

「とにかく今、できることを全部やり切ってもらいたい」と加地は改めてエールを送る。

「ドイツの時はホントに一瞬で終わった印象しかない。あれだけ苦労して予選を勝ち上がったのに、何の成果も残せなくて、ホントにむなしい気持ちになりました。僕自身も『いちばん下にいる選手だから』という気持ちがどこかに多くあって、年長の選手とあまり話ができなかったけど、チームが本当に1つにまとまるためには年齢とか経験とかは関係ない。

全員がミーティングや話し合いを繰り返して、100の力を150にする努力が必要だった。それを今の代表選手にはやってほしい。ロシアでは悔いを残さないような戦いをしてほしいと強く思います」

今も昔もつねに黒子になって周囲を支え続ける男・加地亮の発言には説得力がある。彼の思いを引き継ぐ選手が数多く出てきてくれれば、日本サッカーも前向きな方向に進むに違いない。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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