3月26日のコラム「アベノミクスはこのまま終わってしまうのか」
では、昭和恐慌を克服した高橋是清大臣と現在の安倍政権を比較することを通じて、3月以降の日本の政治情勢の混乱を考えた。
政変と世論が経済政策運営を大きく変えることは今も昔も変わらないだろう。だが、再燃した森友学園問題が高橋財政を終焉させた「ニ・ニ六事件」に匹敵する政変に至る、という筆者が頭の片隅で心配していたテールリスクが実現する可能性は小さくなりつつある。
内閣支持率「持ち直し」も、カギ握る北朝鮮情勢
「安倍晋三首相らの土地取引関与」については昨年から新しい材料が出ていない。この「疑惑」と、「財務省による文書改ざん」の関連性が低いことが時間とともに明らかになり、大手メディア調査による内閣支持率をみると3月末には一部で持ち直しがみられている。
今後、秋の自民党総裁選挙にかけて、自民党内での政治力学に変化が起こる展開もありえる。だが、長期間安定してきた安倍政権の支持率を前提にすれば、今後は「北朝鮮有事」があるのか、いずれにしても北朝鮮情勢への対応が日本の政治情勢を変える最大の要因になるとみてよいだろう。
3月の森友学園問題再燃で国会での時間が割かれてしまったが、日本経済が脱デフレと経済正常化の途上にあるなか、財政金融政策が引き続き経済成長率や株式リターンを大きく左右する。この意味で、国会が機能不全となったことは不幸なことだが、日本の経済成長にとって大きなダメージにならないと筆者は考えている。
金融政策については、3月12日のコラム「ドル安円高は、いつになったら終わるのか」では、年初からの為替市場でのドル安円高については、「日銀が早期に金融引締めに踏み出す」との観測が影響している、と指摘した。
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