楽天OBが始めた「突然死予防ビジネス」の全貌

お手軽価格の「銀座で脳ドック」を受けてみた

最初は少し緊張するものの(編集部撮影)

MRI装置が「ゴウン、ゴウン」と不気味な音を立てる。時折「ガガーッ」という別のノイズも聞こえ、ベッドが少々振動する。最初は少し緊張するが、単調なノイズの繰り返しは確かに眠気を誘う。前日、明け方まで原稿を書いていた私は、10分の間に何度か寝落ちした。

「はい終わりました」という神山氏の声で目覚める。上着を着て、腕時計を取り出すと所要時間はきっかり10分。

「検査結果は1週間後にメールでお送りします。問題なければこれでおしまい。何かあれば、後日、精密検査。そこで異常が見つかれば日本大学病院、順天堂大学病院、聖路加国際病院などの提携先の病院で治療を受けていただく流れになっています」

こうして私の脳ドック初体験は、拍子抜けするほど簡単に終わった。

相場の半額で脳ドックが受けられる理由

検査終了後、濱野、神山の両氏に取材した。

なぜ、相場の半額で脳ドックが受けられるのか。

「効率を徹底的に高めているからです。スタジオにはMRIが2台あり、15分刻みで1時間に8件の検査が可能になります。普通の病院では脳以外にもさまざまな部位を検査するのでセッティングに時間がかかりますが、脳に特化することで稼働率が上がるわけです。われわれは『脳ドックのLCC(ロー・コスト・チェックアップ)』と呼んでいます」(神山氏)

東芝のMRIを使っていることもローコストの一因なのか。

「ちょうど、キヤノンさんが東芝メディカルを買うタイミングだったので、キヤノンさんも実績作りの狙いがあって、いい値段を出してくださいました。それでも機材を全部そろえるのに5億円以上かかりましたが」(濱野氏)

この辺りは、さすが楽天出身の2人である。なかなかに抜け目がない。東芝の原発事業はダメだったが、現社長の綱川智氏が手塩にかけて育てた東芝メディカルシステムズは、キヤノンが6655億円もの値をつけた優良会社である。その最新鋭機種だから、ハードウエアの面は信頼していいだろう。問題はソフトウエアである。いくら知久先生に実績があると言っても、1人でそんなに大量の検査をさばけるものだろうか。

「脳ドックの要はMRIなどで集めたデータの解析です。画像の場合『読影』という特殊な技能が求められます。実はその読影のスペシャリストが広島に2人いて遠隔で画像をチェックしています。知久先生とのダブルチェック体制です。さらに東大発ベンチャーの『エルピクセル』という会社とAI(人工知能)を使った画像解析の共同研究もしています。確実に、早く、安く検査できる体制を作ることが、予防医療の普及のカギだと考えています」(神山氏)

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