日銀3月短観、大企業製造業は「プラス24」 大企業製造業の想定レートは1ドル=109.66円

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さらに足元の円高も輸出企業で先行きの業績懸念につながっている可能性がある。景況感は多くの業種で先行き見通しが悪化しており、18年度の経常利益計画は上期を中心に全規模で製造・非製造業ともに減益見通しとなった。

事業計画の前提となる大企業・製造業のドル/円想定為替レートは18年度が109.66円と、17年度の110.67円から円高方向が見込まれている。

それでも足元の106円台より円安水準にあり、SMBC日興証券のチーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は「企業が発表する来期の収益計画では徐々に前年比マイナスの数値が出てきているが、1ドル110円より円高が続くようなら、先行きも当然、ネガティブな影響が出てくるだろう」との見方を示した。

需給は引き締まり

一方、明らかに活発化しているのが設備投資だ。

大企業・全産業の2018年度の設備投資計画は前年比2.3%増となった。民間調査機関の予測の同0.6%増を上回り、期初計画としては大企業も中小企業も過去3年と比較して最も高い。人手不足に伴い、投資の中身は効率化だけでなく、人の代替となるロボット投資などが増えているもようだ。

また、内外経済の回復持続を背景に商品などの需給も引き締まり傾向が継続。国内での製商品・サービス需給判断DI(需要超過─供給超過)は大企業・製造業がゼロ、同非製造業がマイナス5となり、いずれも前回調査から需要超過方向の動きとなった。

大企業・製造業の海外での製商品需給判断DI(同)もプラス4と需要超過方向の動きが続いている。

(伊藤純夫 中川泉)

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