ファストリ、3期連続増収増益計画 国内ユニクロ、客単価引き上げへ
[東京 10日 ロイター] - ファーストリテイリング<9983.T>は10日、2014年8月期の連結営業利益が前年比17.4%増の1560億円になるとの見通しを発表した。
海外の積極展開などで3期連続の増収増益見通しながら、市場予測を下回る水準。前期に利益率低下が鮮明になった国内ユニクロ事業では、客単価の引き上げを図り、増収増益を目指す。
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アナリスト19人による過去90日間の予測平均は1646億円で、会社予想はこれを下回った。
連結売上高は前年比16.4%増の1兆3300億円を計画。年間配当は10円増配して、年300円を予定している。
<国内外ユニクロは4期ぶりの増益計画>
14年8月期の営業利益は、国内ユニクロが18.2%増、海外ユニクロが52.6%増、「ジーユー」などを含むグローバルブランド事業が37.4%増となっている。計画が達成できれば、国内ユニクロは4期ぶりの増益となる。
国内ユニクロの既存店売上高は前年比1.6%増を見込む。3期ぶりにプラスを確保した前期の7.3%増に続き、2期連続でのプラスを狙う。直営店の出店は51店舗ながら退店が41店舗あり、純増は10店舗にとどまる。直営店は期末には844店舗体制となる見通し。
13年8月期は、値引き商品に消費者が集まったことや、販売不振商品の大幅な値引きを行ったことなどで粗利益率が低下。国内ユニクロ事業は増収ながら5.4%の営業減益となった。
柳井正会長兼社長は会見で「前期の反省を踏まえ、粗利をコントロールし、今期以降は増益にしたい」とした。価格訴求ではなく商品の良さや機能性を打ち出すほか、客単価を上げていく方針。今期は値引きを抑制するかとの質問に対しては「状況を見ながら。商売は日々変わるため一律には言えないが、その方向で努力する」と述べた。
また、国内の景気動向に触れ「ようやく景気が立ち直り始めた。初めて明るさが見えてきた。それに乗って、増収増益にしたい」とした。
<13年8月期、海外ユニクロ利益は計画未達>
海外ユニクロ事業は「グループの成長エンジンとして拡大が続く」(柳井会長)と位置付けた。
新規出店は198店舗、純増も198店舗を計画しており、14年8月末の海外店舗は644店舗体制を見込んでいる。東南アジアで大量出店を行うほか、米国でも本格的なチェーン展開を行う。米国での展開について、柳井会長は「年間20―30店舗を出店し、数年後には100店舗になる」との見通しを示した。
ただ、13年8月期の海外ユニクロ事業の売上高は会社計画比上振れたものの、営業利益は計画の200億円に対して未達の183億円に終わった。中国に次いで店舗数の多い韓国で、天候不順や景気低迷の影響を受けたことや、米国事業での赤字幅が前年並みにとどまったことが主因。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「順調な出店とともに売り上げは伸びているが、利益の寄与が小さい印象」と指摘している。
同社が「第2の事業の柱」と位置付ける「ジーユー」は、さらに強化する。63店舗の純増を計画しており、期末には277店舗となる。ジーユーは9月30日に上海に1号店を出し海外進出を果たしたが「海外出店は、今後積極的に進める」(岡崎健CFO)方針。14年8月期は売上高1000億円以上で、利益率も向上を見込んでいる。
<13年8月期、売上高は衣料品で初の1兆円超え>
13年8月期の連結売上高は前年比23.1%増の1兆1430億円となり、衣料品企業として初めて1兆円を超えた。営業利益は同5.1%増の1329億円となり、会社計画の1475億円を下回った。
柳井会長は「特に感慨はない。通過点」と語り、2020年に売上高5兆円とする目標は、海外での展開を進めることで「十分達成可能」と自信を示した。
(清水律子)
*内容を追加して再送します。
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