イオンリートはどれだけ魅力的なのか?

小売り大手として初の自社REITを上場へ

売り手もイオン、買い手もイオン

ただ、不安も少なからずある。最大の懸念要素は、利益相反の問題だ。

通常のREITは投資家の利益を最大化するため、物件を極力安値で取得し、その後は賃料の引き上げや管理コストの削減を進めることで、不動産としての投資利回りを上げる。

だが、イオンリートは「物件の出し手、買い手、運用者、管理者、主力テナントが事実上、同一主体」(前出のアナリスト)と、極めて特殊だ。借り手であるイオンが貸し手であるイオンリートのスポンサーなので、力関係としては借り手優位となってしまう。イオンが家賃を引き下げるよう要請すれば、運用会社は下げざるをえない、という懸念が付きまとう。物件売却でも、イオン優位の条件でまとまりかねない。「やや恣意的に運用される可能性がないとは言い切れない」(同)。

実はイオンリートは当初、今年2月までに上場する予定だった。ところがズルズルと後ろ倒しになり、ようやく年内に日の目を見られそうな状況になったのはつい最近のことだった。上場がここまで遅れた理由について、監督官庁である金融庁が利益相反を問題視して交渉が長引いたから、と見る向きも少なくない。

利益相反の懸念について、アイビー総研の関代表は「テナントとの賃貸借交渉についてベンチマークを設け、投資家に開示する必要がある」と指摘する。これに対し、イオンの森美樹副社長は「しっかりしたガバナンス体制、コンプライアンス体制を敷いていく」と話す。

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