森友問題「昭恵夫人カード」は切られるのか 存在感が高まってきた自民党の二階幹事長

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ただしこれをもってしても、共産党が希望する「昭恵夫人の証人喚問」は実現する見込みはない。証人喚問を行うには全会一致の賛成が必要だが、現在の状況では自民党が受け入れるはずがないからだ。

「筆頭間協議整わず、明日に向けて引き続き協議」ーー。集中審議が終わった後、立憲民主党の参議院国対委員長の蓮舫氏がツイッターでこう書き込んだ。早ければこの日、佐川宣寿前国税局長の証人喚問が決議されると思われていたが、翌日以降に延ばされた。

そもそも証人喚問には様々な手続きが必要なため、自民党側は「党本部や官邸の意向を聞く必要がある」と主張。具体的には20日12時半からの与党2幹2国(自民党と公明党の幹事長と国対委員長の会談)で自民党の二階俊博幹事長がどのように判断するかにかかっているようだ。

二階幹事長が「昭恵夫人カード」を切る可能性も

もっとも二階氏自身は証人喚問について明言していない。立憲民主党の福山哲郎幹事長が14日に二階氏と電話で会談し、「二階氏は証人喚問も含めて佐川氏の国会招致を容認した」と発表したが、それは野党を国会審議に復帰させる呼び水にすぎなかった可能性もある。

1月14日リトアニアで撮影された首相夫妻(写真:REUTERS / Ints Kalnins)

仮に証人喚問が実現しても、「捜査中」という理由で佐川氏が証言を拒否するとも囁かれている。また予算が成立したら、麻生財務相が辞任するという噂も飛び交っている。

しかし麻生財務相が辞任すれば、安倍首相に責任が及びかねない。さらに麻生氏だけに責任を負わせた場合、安倍首相は9月の総裁選で麻生派の支持を受けられなくなる危険性もある。そうなれば4月の日米首脳会談が成功しても、党内の求心力を維持するのは困難だ。

かつては「政高党低」といわれた官邸と自民党との関係だが、いつの間にか拮抗するようになった原因は、森友学園問題だろう。「佐川カード」を二階氏がどう切るのか。その先に「昭恵夫人カード」を切る局面も出てくるのか。こじれた状況は、まだしばらく終わりそうにない。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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