鉄道活性化「若い世代の関心」をどう高めるか

三重「あすなろう鉄道」支援NPOの試み

鈴木校長は「予想をはるかに上回る成果をあげたと思う。教員だけが教育をやる時代でなく、外部の『本気の大人』と触れ合わせることで生徒のポテンシャルを伸ばしたい」と活動の成果を強調した。また、運営スタッフとして参加したNECプロボノチームのメンバーの1人は「参加した生徒たちは自分の考えを自分の言葉でしっかりと発表できていた。当社の若手社員にも見せれば、必ず刺激になるはず」と絶賛した。

YTTの宗像副理事長は今回のワークショップについて「NECプロボノチームのサポートもあり、すばらしい成果をあげることができた。街づくりのステークホルダーを意識しつつ意見をまとめ、それを実現するために自分たちが関与する方法について生徒が理解を深めるプログラムにできたことはわれわれとしても大変よかったと考えている」と総括したうえで、「今後はこのような活動を広く展開できる仕組みも考えていきたい」と、これからの活動に向けた抱負を語る。

一方、YTTの井上誠二理事は「生徒たちの発表を聞いて、持続可能な社会づくりのための教育がされていると感じたが、今後は街づくり活動に高校生をいかに巻き込むかを考える必要がある」と課題を指摘する。

今回の一連の取り組みはあくまで、高校生が街づくりについての関心を深め自発的に考えるきっかけを提供することに主眼がある。今後はワークショップ・シンポジウムに参加する高校生をさらに増やし、参加した高校生を街づくり活動に巻き込む方策を考えることが課題である。具体的には、高校生にメールマガジンなどで定期的にイベント情報を発信して参加を促すことや、あすなろう鉄道を機軸としたイベントを高校生と共催するなどの取り組みが考えられてもよいだろう。

人と人とのつながりを育む鉄道に

シンポジウムの翌日、筆者は四日市あすなろう鉄道に乗車した。あすなろう四日市駅から乗り込んだ西日野行きは「なろうグリーン」の愛称がある白と緑色の塗り分けの編成(車両番号263―183―165)を活用した「ギャラリートレイン」であった。四日市あすなろう鉄道が行っている写真募集の第3期(2017年6~8月)と第4期(9月~11月)の応募作品の中から厳選された写真が車内を彩っている。

存続問題を乗り越えた内部・八王子線が、四日市あすなろう鉄道として運行を開始してからもうすぐ3年。同線は単なる交通機関という存在を超えて、人と人とのつながりを育むコミュニケーションツールとして機能し始めている。そして、四日市あすなろう鉄道の活性化に向けたステークホルダーの取り組みは、沿線の人たちの鉄道に対する意識を少しずつ変えつつある。あらゆる年代の人たちの中で鉄道への共感の輪は着実に広がっている。

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