なぜ中華系の大金持ちは「割り勘」を嫌うのか お金を自分の手元に呼びこむ術がハンパない
それでも、やはり「身内」や「自分の周り」は大切で、そこには惜しみなくつぎこむようです。
中華系社会では旧正月(今年は2月16日でした)には、かならず紅包(Red Packet)という、お年玉のようにおカネを配る文化があります。配る先が多い人だと、総額100万円以上にもなることも珍しくありません。親族以外にも、会社関係者(社長や上司から部下全員に)、運転手や家事労働者などの使用人、集合住宅の清掃員や警備員などにもおカネを「バラマキまくる」からです。
「お世話になっている人」に、おカネを「再配分」
複数の中華系の友人に聞きましたが、シンガポール以外でも香港やベトナムなど中華系文化の影響を受ける国や地域では、同じような習慣があります。実際に、国の中でも地域差があるようで、場所によっては、日本人やインド人のような外国人でも、この紅包の文化から免れられない場合もあります。こうなると大変です。運転手やお手伝いさんなどが多いと、外国人でも「30万~50万円程度あげた」という声も実際にあります。一方で、もらう側も期待しているので、「その日が近づくと媚を売るし、もらえないと態度が変わる場合がある」とよく聞きます。
紅包はシンガポールでは「アンパオ」という名前なのですが、やはり旧正月前には至るところで真っ赤なお年玉袋を見かけました。日本人駐在員の場合、集合住宅の顔見知りの警備員や子どものスクールバスのドライバーなどに1000円弱をあげる程度なので、幸い受けるプレッシャーは、中華系の人ほどではありません。
お手伝いさんや警備員などは月収にしてみれば10万円未満で働いているのに対して、雇用主は少なくとも10倍、あるいはそれ以上の収入を得ている場合が大半です。なので、新年などの機会に再配分をするのがフェアだという考え方なのでしょう。もらう側も慣れているので、遠慮なく受け取ります。このように中華系は守銭奴になっておカネを自分のところで留めるのではなく、自分や家族や身内(使用人、会社関係者、友人)などの間でおカネをぐるぐる循環させるという発想があります。
その他にも、シンガポールでは贈答をする機会がとても多いです。「教師の日」「クリスマス」「バレンタイン」や教員の誕生日などには教師や身近な人に日頃からの感謝の意をこめて贈答をしたりします。交際費がかかりますが、おカネやギフトなどの贈答をすることによって、身近な人に感謝の気持ちを見える形で伝えるのです。
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