広島カープ「チケット争奪戦」ヤバ過ぎる実態 昨年の反省を生かし対策を進めているが…

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カープは1人が買えるチケットの枚数を制限していないので、昨年は窓口で2時間半粘り、500万円以上購入するツワモノも現れた。当然、整理券が高値転売の対象にもなっている。

こうなると否応なく飢餓感を煽られ、いわゆる転売屋だけでなく、観戦目的の人も多めに購入してしまう。

結果、大量のチケットがチケット転売サイトに出品される。年間シートの販売や、ファンクラブ優先枠での販売が始まると同時に出品は始まっており、一般販売が始まると、その数はさらに増えるのが現状だ。

枚数制限をしなかったワケ

この事態に、カープファンは当然に不満を募らせている。今年も比較的早い整理券番号を持った男女がほぼ同時に窓口で長時間粘り、大量のチケットを購入する姿が目撃されている。

窓口で購入する男性、手もとにはチケットの束が見える(写真:カープファン提供)

昨年は1人で何試合分でも、何枚でも購入できたが、今年は5試合に制限した。それでも1人が買える枚数の制限は見送ったので、「こうなることは最初からわかっていたはず」だと、広島を拠点とするスポーツニュースサイト「ひろスポ!」の責任編集者の田辺一球氏は指摘する。

なぜ球団は枚数制限を見送ったのか。球団はチケットが売れずに苦しんだ時代を忘れていない、というのがその理由だ。

チケットが売れない時代にせっせとチケットを買ってくれたのは、町内会や親睦団体など地元のコミュニティだった。開幕前に一括で販売する方法を採用したのは1997年。これも「土日のゲームのチケットを早く確保したい、もしくは売れるものがあるのならさっさと売ってほしい、というファンの要望に応えたもの。1人が買える枚数を制限すると、苦しい時代から支え続けてくれた地元のコミュニティを締め出すことになってしまう」(カープの球団広報、以下球団)。

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