テスラCEOが全社員に宛てたメールの中身

イーロン・マスクに学ぶ、良い独裁と悪い独裁

テスラにいる全員が、誰にメールしても会話しても構わないし、またすべきなのです。企業全体の利益のために、自分が考える最速の解決方法をとるべきです。
上司の許可なく上司の上司に相談しても構わないし、別の部門のトップに直接相談してもいいし、私(*イーロン・マスクCEO)に相談してもらっても構わない。誰かと話すことに誰かの許可は要らないのです。さらに、問題が解決されるまで、自分にその義務があると考えるべきです。
この狙いは、手当たり次第に世間話をすることではなく、超高速で確実に実行することです。我々が大手自動車企業と規模で競争できないことは明らかなので、我々は知性と機敏さで勝負しないといけない。
最後に1つ言っておきたいのは、管理職が注力すべきなのは、企業にサイロ(*縦割り組織の例え)が生まれないようにすることだ。サイロは他者との間に精神的な壁を作り出し、コミュニケーションを阻害するのです。残念なことに、サイロができるのは自然な流れなので、積極的に戦う必要があります。
部門間に障壁を立てたり、会社全体ではなく組織内の相対的な成功を重視したりすることが、どうしてテスラのためになるでしょうか。我々全員、同じボートに乗っています。自分の部署ではなく、会社の利益のために働くことをつねに意識してください。
イーロン

マスクCEOのメールは3つのことを示しています。

1.テスラのような最先端の新興企業でも、組織内に壁ができ、大企業病がはびこる傾向があること。

2.従業員はどうしても居心地のいいサイロを作り出し、自分の安住の地を作り出そうとすること。

3.トップが強力でないと、人間の組織が持つその強い傾向を打ち壊すことはできないということ。

つまり、人間の本性や組織の自然な慣性に逆らうためには、強い権力が必要になるのです。

GEのイメルト前CEOの場合

もうひとつの事例を見ていきましょう。米電機大手のGEは、かつてはシックス・シグマという、オペレーションを堅確に回すためのトレーニングプログラムを非常に重視していました。成績が良いとブラック・ベルト(黒帯)となり、それが昇進の条件のひとつでもあったのです。

ところが、GEはそうしたオペレーションの重視から、イノベーション・アントレプレナーシップの重視へと急激に舵を切りました。シリコンバレーから生まれたリーン・スタートアップの手法を導入し、これまでのシックス・シグマのやり方とは真逆の方向を向こうとしているのです。

今までのやり方に慣れ親しんだ30万人の従業員を、シリコンバレー流の働き方へと変えさせるには想像を絶する労力が必要です。

次ページイメルト氏の「製品化哲学」
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