嫉妬に狂った彼氏を最後に刺した彼女の弁解 互いの未熟さから修復不可能な関係に陥った

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刺し傷は7cm。純一さんは救急車の要請を頼むも、容疑者はコトの重大さに不安になり、自室にこもってしまいます。彼は自ら部屋の外へ出て警察を呼び、一命を取り留めました。

恋愛における怒りはどう付き合うのがよいのか

傍聴席はほぼ満員からスタートしたこの裁判。たまたま隣に座った中年男性と話す機会があったので感想を聞いてみると、なぜこんなに関係が悪化したのかよくわからないと首をかしげます。

起こったことは殺人未遂ですが、その裏にあったのは、未熟な男と未熟な女、双方の主張のズレと修復能力の低さが微妙な形で絡み合っていただけ。そう思うと、テレビでよくある凶悪事件ほどの見応えはなく、しかし同時にこのようなトラブルは、いつ何時私たちの身にも起きるかもしれないという、身近な怖さをはらんでいます。

「怒り」の処理は複雑です。距離を取り、まずは落ち着き、原因が明確にわかればそれを取り除けばいいだけなのですが、恋愛という感情が交錯し続ける場面においては、なにが根本で引っかかっているのかまでは、なかなか理解するのは難しく、わかるには経験や失敗が必要です。

こじれた痴話ゲンカと、湧き上がる感情をとりあえず鎮める方法。そのいちばん手短な手段が、声をあげ手をあげること。そして刺すという行動だったのかもしれません。

被害者の純一さんは弁論中「今もA氏を守るために刺されたのかなと思っている」と、胸の内を話し、被告人の知子さんに対しては「実刑を望む」と語気を強めました。

判決は懲役3年。知子さんは今、塀の中にいます。

これでやったことは裁かれたとはいえ、すれ違いがなぜ起きたのか、なぜわかり合えなかったのかは、今でも双方が理解できていない気がしてなりません。

おおしまりえ 恋愛ジャーナリスト、イラストレーター

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Rie Ooshima

日本大学芸術学部卒業。学生時代より大手ゲーム制作会社やモデル、プロ雀士や一部上場会社、水商売などあらゆる業種業界を渡り歩き、のべ1万人の男性を接客。鋭い観察眼を磨き、相手も気づいていない本音を見抜く力を身につける。20代で結婚と離婚を経験後、恋愛ジャーナリストとして活動を開始。現在anan・女性自身・週刊SPA!・エキサイト・スポニチなどで連載を担当。アラサー婚活から不倫問題、裁判傍聴やシニア婚活など、ゆりかごから墓場まで関わる男女問題を日々研究。恋愛という人それぞれで異なる状況の中から、個別の問題と人間共通の心理を振り分け、わかりやすくより面白いコンテンツ発信をおこなう。

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