米鉄鋼輸入制限で得するのは中国ではないか トランプ大統領の理論は破綻している
世界が第二次世界大戦で受けた痛手から回復しようとしていたとき、米国がルールに基づく国際貿易の枠組み作りを主導した。それらのルールや公的機関が平和で公正な論争解決の場を提供し、100年近くにわたり大小の国々に信頼を与えてきた。
国際ルールの強制は、システムの健全性や貿易協定の成功にとってのカギである。説明責任なくしてシステムは成り立たない。もし米国政府が自分勝手なやり方を通すためにこのルールを回避するのであれば、トランプ大統領は、米国のリーダーシップ放棄と中国の影響力向上に手を貸すことになる。米国に自国が作ったシステムに対して背を向けさせることになるのだ。
中国には強硬路線をとるべきだ
世界の鉄鋼産出量は過剰であり、その原因は中国にあると見るのはトランプ大統領だけではない。G20の国々は世界の鉄鋼供給過剰問題に取り組むために「鉄鋼供給過剰に関するグローバルフォーラム」を設定した。しかしこのシステムには支援と、刷新が必要だ。トランプ大統領が貿易に関する健全な取り組みをする機会はきちんとある。国際秩序を解体することによってではなく、強化、刷新することによって。
米国は中国に強硬路線をとるべきだ。中国と、ほかの国々との間には不均衡があり、それが幾多の問題を生んでいる。世界貿易機関の加盟国のほとんどは自国市場を開放しているが、中国がそれらの国々を締め出している。EUと米国が法に基づいた取引をしても、時間や資金や人材を費やした知的財産を中国が盗んでしまう。
トランプ大統領にはリーダーシップをとる機会がたっぷりある。しかし、強硬路線(ハードライン)は必ずしも困難(ハードシップ)を意味しない。
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