「のぞみ」台車亀裂、2つの原因は"人災"だった 製造、運行管理、得意の「現場力」でミス続発

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大阪府内にある新幹線第2総合指令所。指令員同士のコミュニケーションも円滑に行われている(撮影:梅谷秀司)

保守担当者の力量を高め、自信を持って判断できるようにする。この方向性は間違っていないが、詰め切れていない部分もある。指令員と保守担当者のやり取りを読むと、保守担当者は強い言葉ではないにせよ床下点検を提案しており、新大阪では床下点検が行われるものと考えていた。一定の力量はあるようにも思える。

一方で指令員は、異常事態に関する現場とのやり取りの最中に、指令長に呼ばれてやりとりを中断し、「床下点検をしたい」という、最も重要な発言を聞いていない。保守担当者が自分の意思を明確に述べたとしても、指令員とのコミュニケーションが適切に取れないのでは意味がない。指令長はなぜ重要な会話が終わるのを待たず、会話に割って入ったのだろう。

核心部分に迫れていない有識者会議の調査

2月26日、有識者会議メンバーは都内の新幹線総合指令所を訪ね、指令員へのヒアリングを行った。それを踏まえて、「重要な会話の最中に上司に呼ばれ受話器から耳を離して会話が聞けないということがありうるのか」と安部教授に質問したところ、驚きの答えが返ってきた。会話の最中に受話器から耳を離したかどうかという質問自体をしていなかったのだ。問題の本質を知るうえでいちばん重要な質問ができていなかったことになる。

また、JR東海とJR西日本の指令員は隣り合って業務を行っており、JR東海の指令員も山陽新幹線区間におけるやり取りを承知している。JR東海の指令員にもヒアリングをすることは客観的な状況を把握するうえで有効なはずだが、安部教授は「話を聞く必要はない」と言い切る。

コミュニケーションギャップは至る所に生じる。川重の台車製造ミスにしても、班長の独断が直接の原因かもしれないが、それをチェックする仕組みがまったくなかったのは問題だ。意思疎通をおろそかにするとどんな事態が起きるか。家庭や職場でも同様のことは起こりうる。決してひとごとでは済まされない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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