昔は輝いていたが…「残念な特急列車」10選 競争激化や観光衰退などで苦戦強いられ…

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9)「はやとの風」(吉松―鹿児島中央)

嘉例川駅に到着した「はやとの風」(筆者撮影)

わが世の春を謳歌しているかに思える観光列車。全国いたるところで個性的な車両が走りまわり人気も上々、予約が取りにくい列車もある。そんな中、観光列車王国のJR九州から「はやとの風」が今春のダイヤ改正で毎日の運行を取りやめ、不定期列車とするとの発表があった。

廃止ではないので一安心だ。新ダイヤでは、年間の運転日数は210日。土休日以外では、夏休みなど学校の長期休業期間や観光シーズンには平日の運転もあるが、閑散期の平日は運休となる。もっとも、各地の観光列車の多くは、週末のみ運転なので、今までが特別だったのかもしれない。しかし、観光列車(JR九州では「D&S列車」と呼んでいる)に熱心なJR九州が目玉商品のリストラを行ったことで、各方面に影響を及ぼしそうだ。残念というほかない。

車内で何も買えないのはおかしい!

10)車内販売のない特急列車

観光列車の車内販売。特急では車内販売のない列車も増えた(筆者撮影)

特急列車は長距離移動が多いので、車内での飲食の販売は必須ともいえるし、それが当然のことと長年思われてきた。食堂車が連結されていない特急列車は一段落ちる列車と評価されていた時代もあったのだ。

もっとも、時代の変遷とともに食堂車はないのが当たり前となり、車内販売があれば十分ということになった。ところが、その車内販売もどんどん廃止され、今や飲食物をあらかじめ用意しないと長時間飢えに苦しむ状況が普通になってしまった。

しかし、これは冷静に考えるとおかしなことで、サービスの甚だしい低下である。せめて飲料の自動販売機くらいはあってもいいのではないだろうか?

最近の日経新聞の報道によると、JR北海道の特急「大雪」の車内で沿線自治体などが地元の特産品を販売する取り組みが好調とのことだ。一時的な試行ではあるけれど、2月10日からは特急「サロベツ」の一部区間でも地元産食材を使ったスイーツや乳製品などを販売する。すべて鉄道会社任せにするのではなく、沿線も積極的に協力し、工夫を凝らすことにより列車を魅力あるものとしていけたらよいのではないだろうか。残念な特急列車が減り、乗客も少しずつ戻ってくるのを期待したい。

以上、厳しい状況にある特急列車の実態をリポートしてみたが、積極的に議論することで活性化の取り組みが行われ、それにより乗客が増え、ひいては利便性も向上すればと思う。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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