学校で週2回も発砲事件が起きる国のリアル 米国で銃規制に反対する人たちの言い分は?
しかし、大統領の意見に賛成する人の意見を聞くと「なるほど」と思う部分も確かにあるし、身内にさえもこの意見に賛成する人物もいる。それは(以前も別の記事で書いたことだが)、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のベイエリアで、初めて定年の年齢まで勤め上げたという筋金入りの女性刑事でもあった義理の母である。
事件後彼女と話をしたところ、「子どもを守るために、学校の教員や職員が銃を持つという意見は、あらゆる意味で的を射ている」という、想定していたとおりの反応が返ってきた。
確かに大統領が述べているように、「銃器の取り扱いに慣れた教師がいれば、襲撃にも早急に対処できる」というのは一理あるかもしれないとは思うが、それでも学校で子どもの教師たちが銃を携帯している姿は想像できないと述べたところ、義理母には「あなた、そんなのんきな感情論を銃反対の理由にするなんて、甘いわよ」と一撃されてしまった。
規制に効果を期待できない人たち
銃を規制する側の言い分は多くの場合、銃へのアクセスが制限されれば、犯行に及ぶ人たちが、それを入手することが困難になるだろうという理論に基づいている。これはある意味正しい理論だと思うし、本当にそれが実現できるのであれば、いちばん平和的な銃犯罪事件を減らす方法にもなりうるだろう。
しかし、銃を使って何らかの犯行に及ぶ人というのは、そもそも法律を遵守するような輩ではない。そのため、必ずしも銃の規制と実際に期待できる規制効果の「結果」は、比例するわけではないと言う点は考慮しなくてはならないだろう。義理母があっさりと「あなたの考えは甘い」と言い切るのはそのためだ。
それではなぜこんなにも、アメリカには銃が浸透してしまったのだろうか。ドイツの大手データベース会社「Statista」が発表した昨年のデータを見ると、2017年現在、アメリカの一般家庭の約40%が少なくとも銃を1丁は所持していることがわかる。同社は1972年よりデータを収集し続けているが、その間、銃所持率が40%を下回ったのは、わずか5年だけだ。
アメリカにおける銃所持率が高い背景には、「合衆国憲法修正第二条」の存在があると言える。これが制定されたのは独立戦争終了から数年後の1791年。そのためいまの時代にはそぐわないという意見もあるものの、自ら勝ち取った「独立」がこの国の成り立ちをそのまま反映しているという点も手伝い、いまでも大変重要視されているものだ。
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