「ソフトクリーム」が真冬の渋谷で売れるワケ 材料はスーパーで買える牛乳と同じだが…
そのほか注目に値するのが輸送過程だ。まず酪農家では、しぼりたての30℃程度の牛乳を、バルククーラーという専用のタンクに集めて4℃以下まで冷却する。そして、温度、見た目、におい、味などをチェック後、ミルクローリーで集乳所や牛乳工場に輸送。さらにミルクタンクに詰め替えて、トラックや船で運ぶ。北海道から本州を結ぶルートは太平洋側と日本海側の2本があるが、そのうちの太平洋ルートでは、日に2隻が釧路と茨城県の日立港を往復している。18時に出港し、翌14時に着港、約20時間というスピーディな輸送、そして輸送を通して4℃以下という温度が守られていることによって、新鮮な牛乳が本州に届けられている。だからこそ、北海道の牛乳は「おいしい」のだそうだ。
「お客様の反応としてはシンプルに『やっぱり濃いね』『ふだんの牛乳と違う』などという声が多いです。でも、ショップで使っている牛乳は、スーパーなどで並んでいる北海道産の牛乳と同じものなんです。『ここだけの限定のおいしさ』ではなく、『いつものおいしさ』に気づいてもらいたい。そのための目新しい環境や、味のバリエーションをショップでご提供しています」(ミルクランド北海道事務局スタッフ)
確かに、「北海道ソフトパフェ」の、生クリームやヨーグルトクリームとの組み合わせや、「ミルクランド・マウンテン」の濃度の違う生クリーム同士の組み合わせなど、乳製品そのもののおいしさを伝えるレシピとなっている。
生産者と消費者をつなぐ運動
またショップには、観光地のように、非日常性を感じさせる仕掛けも加えられている。1つには、搾乳の疑似体験が行える牛の等身大模型を店内に設置。子連れの客が多い吉祥寺店では不定期にイベントも開催し、喜ばれているそうだ。
そのほか、店内の一角にフォトスペースがあり、備え付けられたパッドのボタンで操作しながら、模型の牛とともに記念撮影することができる。ソフトクリームを片手に持っている状態なので、スマホで自撮りするのはちょっと大変。店舗のフォトスペースを利用すれば、手軽に撮影が可能なほか、牛柄のフォトフレームや、牛の角、耳、鼻などのデコレーションを記念写真に加えられる。
事務局によると、ミルクランド北海道の活動は北海道での認知度はほぼ100%とのこと。また、活動を通じ、消費者の意識の変化も感じるようになったそうだ。外国産の農産物も入ってきやすくなっているなか、安全で質のよい農産物を自分で見つけなければならない、という意識が高まっているのだろう。
消費者にとっては、このように味などで体感しながら、楽しく、そして気軽に学べることは非常に大切で、実際の消費行動にもつながりやすい。生産者と消費者をつなぐ運動がもっと広く、多様に、活発になっていくと、日本の食も大きく変わっていくだろう。
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