イヴァンカ「訪韓」が持つ重大な政治的意味 緊張緩和の鍵を握るのは2人のプリンセスだ
イヴァンカ氏は安倍晋三首相主催の晩さん会では、着物を連想させるデザインの華やかなワンピースを着用した。10月30日に誕生日を迎えたイヴァンカ氏にはサプライズとして、雅楽による“HAPPY BIRTHDAY TO YOU”の演奏がプレゼントされている。
この時のイヴァンカ氏の役割は、華やかなトランプ政権を日本にアピールするファッションアイコンのようなものだった。それに対し、今度の訪韓は高度に政治的な意味がある。
韓国メディアの中には「大統領の娘」という点で共通するために、1905年に訪韓したアリス・ルーズベルトと比較するものもあるが、この時のアリスは「アメリカの王女様」として歓待されたが、政治的な任務を背負うことはなかった。当時の大韓国は米国に大陸進出を狙う日本の防波堤になってもらおうと、高宗がアリスを国賓のようにもてなしたが、すでに桂・タフト協定で米政府は大韓国における日本の支配権を認めていたからだ。
だがいまの朝鮮半島は、世界で最も緊張感のある地域となっている。その鍵を握るのが米国だ。北朝鮮は米国の出方を待っている。
その重圧が「女性初の大統領を目指している」と噂されているイヴァンカ氏にあったに違いない。23日夜に開かれた文大統領夫妻主催の晩餐会ではシックな黒いワンピースを着用した。
韓国側も国家元首並みに歓待
韓国側もイヴァンカ氏を国家元首並みに歓待している。空港では李郁憲儀典長らが出迎え、晩餐会の会場は国賓をもてなす時に使用する「常春斎」が使われた。
文政権でこの部屋で晩餐会が開かれるのは、昨年11月にトランプ大統領が国賓として訪韓した時に続いてまだ2度目。食事の前には文大統領とイヴァンカ氏の非公式の会談も行われたが、当初の予定の20分を大きく延長し、35分間も費やされた。上昇志向の強い若い女性の野心をくすぐるには十分な演出だ。
一方で与正氏に対し、文大統領は4回接待しているが、これほど派手な歓待ではなかった。2月10日には与正氏のために「忠武室」で午餐会が開かれたが、午餐会は晩餐会より格が落ちる上、「忠武室」はけっして格が高い場所ではない。
もっともイヴァンカ氏は代表団の団長であるのに対し、北朝鮮の団長は金永南最高人民会議常任委員会委員長。事実上は与正氏の方が金団長よりも格上であっても、プロトコールでは「代表より上」としては扱えない。また韓国が示した極端な慇懃無礼さは、かえって米国に対して距離があることを感じさせる。
訪韓中の与正氏は時折、金王朝の命運を一身に背負うプライドと覚悟の表情を見せた。
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