世界初「水素エネルギー列車」は成功するのか

独で運行開始へ、トヨタFCVとコンセプト同じ

日立の蓄電池電車の充電方法は主に2つある。電化区間を走行時、架線からパンタグラフを通じて行う。そして、回生ブレーキを採用し、非電化区間でもブレーキ作動時に充電できる。設計最高は時速120km、フル充電で、テスト走行時のデータだが航続距離は約90kmだ。

「DENCHA」(日立製作所)。床下の青い部分が主回路蓄電池(撮影:Enuarl)

アルストムの「コラディアiLINT」は、基本的に非電化区間だけでの運行を予定する。車両の屋根上にパンタグラフはない。代わりに、水素タンク、燃料電池を各1つ装備し、1編成(2両)で水素は満タンで約180kgが充填できる。列車が走れば自然に酸素は取りこまれ、そして、燃料電池で水素と酸素が混合することで発電し、必要な電気を生成する。また、「DENCHA」「ACCUM」と同様、床下に蓄電用のリチイウムイオン電池も備える。発生した電力が走行に即座には不要と判断された場合、自動蓄電される電力供給のマネージメントシステムも搭載する。

正井COOは燃料電池列車に関し、ひとつの課題をあげる。

「燃料である水素を、どう製造するかが鍵。水素は利用時にCO2を排出しない有益性の高いエネルギー。だが、その製造過程でCO2を排出するケースがある。燃料電池列車を開発するならば、CO2を一切排出しない“クリーンな水素”を製造する視点を持つことが課題のひとつ」

ドイツが燃料電池列車を導入する理由

なぜ、アルストムはドイツで世界初となる燃料電池列車の導入を実現できたのか。同ドイツ支社で列車の入札マネージャーを務めるアンドレアス・フリクセン氏は、ドイツの非電化区間の長さを理由にあげる。

「ドイツには約4万kmの線路が敷かれ、そのうち電化区間は49%にすぎない。そして数年前まで、残り51%の電化のため毎年2億3千万ユーロ(約310億円)もの投資を行っていた。弊社の試算では、そのペースではすべてを電化し終えるのに95年かかる。さらに、非電化の地方路線は乗客も少なく、投資自体が理にかなっていない」

アルストムは非電化区間の電化を進めるよりも、そこで燃料電池列車を走らせたほうが効率的と判断し、数年前から開発を始めた。その過程で、低炭素社会は完全なトレンドとなり、ディーゼル列車の価格も上昇、加えて、鉄道の騒音規制の厳格化も開発をあと押しした。さらに、フリクセン氏は、日立の正井COOも話した“クリーンな水素”についても説明する。

「今年末の運行開始時には、天然ガス改質の水素を利用する。これは“クリーンな水素”ではない。よって弊社のディーゼル列車と比較し、CO2の削減量は40%にとどまる。将来的に“クリーンな水素”の利用が目標で、これにより、1編成のコラディアiLINTだけで年間700トンものCO2が削減でき、これは自動車の年間CO2排出量の400台分に相当する」

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