暴走「中国」との関係に苦慮する米国の憂鬱 イデオロギーの違いが再び顕著化

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ここ数カ月、米国で中国の事業や影響に対する敵意が増している。中国共産党の自国における大学教育に対するイデオロギー的支配力の高まりを受け、多くの大学は、米国中のキャンパス内にある中国の「孔子学院」ネットワークについて、疑いを高めてきている。そして、最近まで、中国をグローバルシステムに組み込むことの利益をもてはやしていた米国の政治学者も、中国の行動や動機そして価値観を批判し始めている。

「ソフトパワー」という言葉を作ったケネディスクールの政治学者、ジョセフ・ナイは、「シャープパワー」という言葉で中国の世界的影響力を表現し始め、それに抵抗しなければならないと論じている。また、FBI長官も、米国の中国人学生が中国の「非伝統的な」情報収集家となるかもしれないと警告した。

グローバリゼーションでは溝は埋められない

イデオロギーは、初期の数十年の米中関係を定義し、30年近く敵対させ続けている。しかし、1970年代後半、特に鄧小平の1979年の改革開放以後、米国と中国は、貿易からテロリズム、環境までにわたる共通の利益を追求しながら、ほとんどのイデオロギー的差異を棚上げしてきた。

こういった協力にもかかわらず、基本的なイデオロギーの相違は未解決のままだったのである。米国の政治文化は、民主主義、開放性、市民の自由、そして荒れた公的分野のテコ入れにコミットしている。一方、中国共産党は、統一ルール、権威主義的価値観、そして情報の絶対的管理にコミットしている。両国の政治指導者は、世界の他国に対して歴史的責任を負っていると考えている。

過去の世代において、私たちは中国と米国が、通常「グローバリゼーション」という言葉に代表される経済発展と自由貿易との共通点を探すことで経済問題の枠組みを作るのに慣れてきた。これはイデオロギーのぶつかり合いの影響を少なくするはずだったが、イデオロギーは決して消え去らなかった。

両国とも革命の産物であり、その行為に内在する「乱れ」がそれぞれの価値観を定義した。両国とも、今がまさにその価値観を大きく広めるときだと考えている。これにより、それぞれの指導者と国民は、それぞれが避けてきた選択を強いられるようになる。しかし、誰もそれらの選択肢を選ぶ準備ができていない。米国の政策と中国に考えは、穏やかな時代に作られたものであり、この騒々しい時代においては新たなものを作る必要があるだろう。

筆者のピーター・マリノ氏は、ニューヨークのシンクタンク「The Metropolitan Society for International Affairs」の創設者兼ポリシーディレクター。はロイターのグローバル問題のコラムニスト。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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