ネット広告が売れない!電通の思わぬ受難 持ち帰り残業にセクハラ...課題も山積みだ
国内もさらなる改革が続く。2018年は売上総利益が1.3%増の3666億円、調整後営業利益は18.4%減の725億円の計画だ。「事業全体の再構築をするため減益になる。いたずらにトップラインを伸ばすよりも改革を優先する。改革の効果が出る前から労働時間を減らしているので、成果が出てくるまでにタイムラグがある」(山本社長)という。
今期は人件費で25億円、業務効率化で80億円、オフィス改善で25億円の費用を盛り込んだ。労働時間のさらなる削減に向け、付加価値の小さな仕事はできるだけ外部委託やRPA(ロボットによる業務効率化)などで代替する。
同時に人材育成も進め、適材適所の配置で正社員数を大幅に増やすことはしない。山本社長は2018年で一連の働き方改革にメドをつけると説明する。
持ち帰り残業やハラスメントへの対策も急務
だが、言うは易く行うは難しだ。一部社員からは「自宅に持ち帰って仕事をしている」といった声も聞こえてくる。また、「残業が制限されている電通よりも広告主の要望を聞けるということで、博報堂に仕事が流れている」と明かす業界関係者もいる。電通は業務効率化と同時に、競合と渡り合える体制を整える必要がある。
働き方のほかにも、電通は大きな問題を抱える。社員のセクハラやパワハラの被害をいかに防ぐかだ。昨年末には元社員の女性が電通在籍時のパワハラ・セクハラで元社員を告発し、ネットを中心に大きな話題になった。米国に端を発する「#MeToo」運動が電通にも波及した格好だ。
最近入社した女性社員は「クリエーティブ以外の部署でも、セクハラになりかねない言葉が日常的に飛び交っている。他社から来た社員はみんな驚いていると思う」と電通の特異性を語る。会社全体にセクハラが蔓延しているということはないだろうが、社員にとって快適な職場を作り、今後優秀な人材を迎えるために、この点でも踏み込んだ改革が求められそうだ。
働き方改革や事業基盤の整備のために「戦略的な連続減益」を決断した電通。山積みの課題を解決し、2019年を飛躍の年にできるのか。2018年は国内外ともに臥薪嘗胆、正念場の年になる。
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