ゼネコンを追い詰める資材高、負担増を巡る綱引きの行方

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不退転の生コン値上げ 値決め方式変更も交渉

鋼材に並ぶ主要資材である生コンクリートは値上げ交渉の真っ最中。「1500円の値上げを建設会社にお願いして回っている」と東京地区生コンクリート協同組合の大家武副理事長は語る。

供給量で国内最大の東京地区協組は、今年12月の引き合い分から生コン1立方メートル当たりの販売希望価格を1500円引き上げ、1万4800円とすると発表済み。値上げは07年4月以来で、4ケタの値上げは近年なかったことだ。

生コンメーカーを突き動かしたのは、主原料であるセメント価格の上昇だ。太平洋セメントは今年4月に製品1トン当たり1200円引き上げ、9800円(東京地区)とした。過去5年間で400円しか上がっていなかったセメント価格の急上昇は、燃料の石炭価格高騰が引き金になっている。

一般炭価格は03年の1トン約4000円(CIF‥運賃・保険料込み価格)から07年には8000円超に。「廃棄物を利用し、処理費用をもらうことで一般炭の上昇分を吸収してきたがもう限界」(三菱マテリアル・稲葉好則執行役員)と、セメント各社は昨年12月から値上げ交渉に動き、主要企業は今春1000円以上のアップを通した。

が、08年に入り一般炭の上昇は加速。7月のCIFは1万4000円超となった。「今年度の値上げは不十分。来年度の石炭価格はさらに上がる」(太平洋セメント・セメントカンパニー営業部・森修グループリーダー)。太平洋セメントは来年4月に2000円から3000円のセメントの値上げを検討している。

生コン原料ではセメント以外でも砂利が値上がり、燃料高も生コンメーカーの採算を圧迫する。東京地区協組は来年4月に500円以上の追加値上げも表明。過去は発表した値上げ幅がフルに通らなかったこともあるが「何としても通す」と大家副理事長は覚悟を決めている。

生コン業界には目下の値上げに加え、もう一つ課題がある。

生コンメーカーと建設会社は案件ごとに価格契約を結んでいる。対して、セメントなど原料は出荷時の価格契約。大型案件だと複数年にわたるため、期間中の原料の値上がり分は建設会社に請求できず、生コンメーカーが負担。「昨今の急激な原料費アップは死活問題。値決め方式の見直しが必要」(大家副理事長)。

神奈川や湘南の生コン協組は今年4月に、13カ月以上の工事は1年ごとに価格を見直すとしている。ただし、東京以外は複数年にまたがる大型案件は少なく、建設会社側の応諾は進んでいない。東京地区は2010年の見直し検討を打ち出している。


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