『転職する際の信用調査が不安です』(33歳男性) 城繁幸の非エリートキャリア相談
<城繁幸氏の診断>
診断:『最近はめっきり聞かなくなった信用調査』
企業が採用活動を行う際、頼りになるのは、面接と履歴書の内容だけです。ただ、履歴書なんてある意味、本人の書きたい放題書けてしまうわけで、採るほうとしては少々不安なわけです。
実際、申告した職歴が虚偽だったことが発覚し、採用取り消しや退職に追い込まれるケースもあります。
例) 「前職では課長だった」⇒「本当は平社員だった」 / 「優良な勤務実績」⇒「懲戒歴有り」
ただ、こういった明らかな事実関係の虚偽は、後でいくらでも対処可能なため、逆にそれほど心配はされていません(実際、ここまで極端なケースは稀ですね)。
それより問題となるのは、客観的な正否の判断が難しい事実関係についてです。
「○○担当リーダーとして××プロジェクトを推進!」なんて書きたててあっても、それがどこまで本当かは誰にもわからないわけですから。
そこで“第三者からみた評価”が重要となってくるわけです。企業が採用活動の一環として信用調査を行うのには、こういった背景があります。
ただ、ここ10年ほどの間で、信用調査を行う会社はほとんど見られなくなりました。理由としては以下の二点があげられます。
まず上記のような信用調査は、転職がイレギュラーだった時代の副産物だったということです。これだけ転職が一般化してしまった以上、いちいち手間と金をかけてまで調べていられないというのが、大方の人事担当者の本音です。
そして二点目は、個人情報保護法の存在です。2005年から施行された同法案により、個人に関する情報を第三者に提供することは大きなリスクを伴うようになりました。結果、問い合わせがあったとしても、会社としては「お答え致しかねます」とせざるを得ないわけです。