深刻化する米政治対立、債務上限問題悪化も

2011年よりも、かなりきわどい事態に?

大変な混乱

ユーラシア・グループ(ニューヨーク)の政治リスクアナリスト、ショーン・ウエスト氏は「今は大変な混乱状態になっている。与野党は互いに文字通り戦争している」と指摘した。

共和党穏健派のピーター・キング下院議員(ニューヨーク州)は、保守主義の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」系の共和党議員は債務上限問題で極限まで要求を押し通してみたいという誘惑に駆られるのではないかと懸念を示し、「あえてデフォルトに踏み切った場合にどんな影響を出てくるのかを彼らが認識しているかさえ、よくわからない」と嘆く。

民主党のルイーズ・スローター下院議員(ニューヨーク州)も、債務上限をめぐる要求合戦が起きることが心配だとした上で「共和党が選択する可能性がある最悪の行動は、米国への全面的な信頼と信用に挑みかかることだ」と話した。

だが共和党側は、債務上限問題は自分たちの政治的要求を通すためのより大きなてこになると考えている。デフォルトが起きれば、政府機関閉鎖とは比較にならないほどの深刻な影響をもたらすからだ。

米国の歴史上初めてのデフォルトとなれば、世界的な株価の大幅下落を引き起こし、借り入れコストは急上昇、企業は雇用を打ち切り、消費者は支出を手控え、経済成長がストップする可能性があるとみられている。

2011年に起きた債務上限引き上げに絡む政治対立では、米国はデフォルトまで残すところあと一両日の土壇場にまで追い込まれ、ダウ工業株30種<.DJI>の構成銘柄は平均17%程度値下がりして、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)でトリプルAだった米国債格付けが引き下げられる事態になった。米政府の調査では、これによって同年の利払い費用が13億ドルも高くなったという。

デフォルトの発生とそれに伴う大混乱への懸念が、与野党に歩み寄りを促すとの期待もある。共和党のベイナー下院議長の盟友である同党のトム・コール下院議員(オクラホマ州)は、金融市場には政治関係者を覚醒させて妥協点を見出させるだけの強い影響力があると話す。

一方で債務上限はオバマ大統領にとっても交渉を避けて通ることのできない大きな問題だというのも共和党の主張だ。

同党保守派のマーリン・スタッツマン下院議員(インディアナ州)は「政府が閉鎖されているが、債務上限問題は経済成長に幕を下ろしてしまいかねない」と述べ、大統領が交渉を開始することに期待を示した。

合意成立見通せず

もう1つ厄介なのは、ベイナー下院議長が共和党内を統制する能力を欠き、茶会と連携した保守派が多くの政策課題を推進している点にある。

これについてユーラシア・グループのウエスト氏は、もう政府機関の閉鎖が始まってしまった以上、ベイナー氏にとっては保守派の信頼を得るために闘争を長引かせて、債務上限問題につなげるのが利益になる可能性があるとの見方をしている。

ただこの対立の結末となると、ポトマック・リサーチ・グループのグレッグ・バリエール氏は「できることなら楽観的になりたいが、10月15日か16日になっても何の合意にも到達しないと思う」とみている。

(David Lawder、Caren Bohan記者)

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