これがB型肝炎にかかった子どものミイラだ 500年前のミイラに新たな疑い
そこで、彼らはまた別の分子解析を行った。すると、ミイラから得られたB型肝炎ウイルスの遺伝情報が、現代のB型肝炎ウイルスの遺伝情報と似ていることがわかった。これはコンタミネーション(ミイラのものでないウイルスによって汚染されていること)の可能性があることを警告するものだった。
研究者チームはその後1年半かけて、自分たちが本当に古代のB型肝炎ウイルスを発見したのか、それとも、見つけたウイルスは、1980年代にミイラを発見した研究者がもたらした汚染菌なのかを解明しようと試みた。ポイナーによると、当時イタリアではB型肝炎の感染者数が多く、彼らが発見したウイルスもコンタミネーションによるものである可能性があった。
ウイルスの進化は非常にゆっくり
さらに解析を行った結果、ミイラから見つかったB型肝炎ウイルスの遺伝子の構成物質は、ミイラそのものの遺伝子の構成物質と同様に損傷していることがわかった。これはウイルスとミイラが、同様に古いことを意味していた。さらにこの説を裏付けるため、研究者チームは古いB型肝炎ウイルスをいくつも用いて、進化論的解析を行った。
その結果、このウイルスの進化は非常にゆっくりであることがわかった。ここから、過去500年の間、B型肝炎ウイルスはあまり変化していないと推測された。
ポイナーとホームズによると、彼らが発見したのは、おそらくイタリア最古のB型肝炎に感染した証拠だと考えられるが、コンタミネーションである可能性も完全には否定できないという。
「現在のところ、80対20、あるいは90対10の確率で、コンタミネーションではないと考えている」とポイナーは言う。
(執筆:Nicholas St. Fleur、翻訳:東方雅美)
© 2018 New York Times News Service
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