両備・岡電「赤字バス4割廃止」届け出の真意

ドル箱路線に競争相手が低価格で攻勢

さらに、「めぐりん」の申請に対して小嶋CEOは、次の2点において認可されるべきではないと主張している。

(1)道路運送法 第9条 第2項
国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを越えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
第6項第3号
他の一般旅客自動車運送事業者(一般旅客自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。
(2)道路運送法 第30条 第2項
一般旅客自動車運送事業者は、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。

しかし、この主張の半日後に「めぐりん」益野線は認可された。

「めぐりん」益野線の営業開始がいつかは未定の状態だ。しかし実際に走りはじめると、両備グループに大きな影響があることは確かであろう。そのとき、申請通りに路線末端部を廃止する決断をするのか、廃止申請を取り下げて継続運行できる妙手があるのか。

ここは、申請取り下げに向かう方策について、小嶋CEOが主張するとおり、関係者で話し合う場を設けることが望ましいと思う。ここまで、両備グループがその方向を働きかけてきたものの実現できなかったのであれば、今度は沿線自治体と沿線住民が声をあげることで世論を動かし、中国運輸局の不可解な対応について確認する場を設けるべきではないだろうか。幸い、廃止対象路線がある瀬戸内市、玉野市、倉敷市は今回の廃止届けに理解を示しているという。

地方交通を救う動きに発展するか

もう一点、地方の現状にあわせた法改正への道筋はつけられるのか。この点についても、今後の動向が注目される。

両備グループは、かつて存続問題が浮上した南海電鉄貴志川線に手を差し伸べ、和歌山電鐵として運行を続けていることは周知の事実だ。その両備グループが、末端部とはいえ生活路線の廃止申請をもって世論に働きかけるとは、尋常なこととは思えない。それほど切羽詰まっているとみてよいのだろう。ちなみに、廃止を届け出た全線を実際に廃止した場合、影響を受ける利用者は、両備バスで一日約4000人、岡電バスで約1600人と試算している。少なくない人数だ。

両備グループは、かつて並行路線ができたために西大寺鉄道を廃止した。しかし、並行するバス路線を成功させている。今度はバスの並行路線ができようとしているが、末端部の切り捨てという形ではなく、世論を味方につけて継続運行ができる体制を整えてほしいし、それが、全国の地方交通を疲弊から救うものにまで発展することを切に願っている。

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