両備・岡電「赤字バス4割廃止」届け出の真意

ドル箱路線に競争相手が低価格で攻勢

2月8日午前に開かれた緊急記者会見の様子。左から、岡電専務の礒野氏、小嶋CEO、両備HD専務の原氏(筆者撮影)

両備グループの歴史は、西大寺鉄道という軽便鉄道からはじまっている。同社は1910(明治43)年の創業で、鉄道は翌年に開業し、1962(昭和37)年の廃止まで52年にわたって走り続けた。廃止の理由は赤字ではなく、並行する国鉄(現JR)赤穂線の建設が進んだため、同線開業によって業績が一気に低迷することが予想されたためであった。

国鉄赤穂線の営業開始により廃止となった西大寺鉄道だが、岡山市内と西大寺を結ぶバス路線は西大寺線として両備バスが引き継いだ。同社はこの沿線開発などを行うことで、岡山市通勤圏でもとりわけ人気の高い路線となるまでに育ててきた。現在、岡山駅前・天満屋と西大寺バスターミナルの間は、混雑時間帯には5分に1本、閑散時でも10分に1本のバスが走るほどの主要路線になっている。

西大寺鉄道の創業から108年にわたり営々と築いてきたこの路線に対し、利用者の多さに着目して「めぐりん」が動いたのは2017年3月30日のことだった。中国運輸局に対し、西大寺線とほぼ同じ路線を益野線として認可申請したのだ。

規制緩和が生んだ事態

両備バス、岡山電気軌道バス・路面電車と「めぐりん」申請路線の概略図(両備グループ発表資料を基に簡略化し作成)

「めぐりん」は低価格を前提としている。例えば、現状の「めぐりん」市内循環の運賃は1km圏内を100円均一としているが、今回の申請ではその100円均一区間を3kmまで広げているため、並行する両備グループとしては競合上、バスだけでなく路面電車の岡山電気軌道も、現在は区間により100円と140円としている運賃を、全線で100円にせざるを得なくなる。市内中心部の100円区間以外についても250円均一で認可されたと報道されており、両備バスの400円からすると37.5%の大幅値引きとなる。

2002年の道路運送法改正によりバスは需給調整が廃止されて参入が自由化された。「めぐりん」の市内循環参入もこの結果だ。市内中心部の循環路線という、いわゆる「おいしい」ところだけをつまみ食いされる状態だった両備グループとしては、そこへ追い打ちをかけるように、屋台骨を支えている西大寺線に殴り込みをかけられた形だ。

当初、「めぐりん」の益野線については、とても認可はされないだろうというのが衆目の一致するところだったという。「めぐりん」を運行する八晃運輸は実際に、これまでにも数多くの路線申請をしていながら、実際に運行している路線の割合は必ずしも多くないのだ。その予想を裏付けるように、同社は申請から半年を経た昨年10月3日、認可が下りていないために運行開始時期がずれ込むことをホームページ上で告知している。ところが、ここにきて急遽の認可となった。

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