日本勢のシリコン不足が深刻化、信越化学が太陽電池に参入へ

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シリコン鋳塊など社長決断で本格参入も

すでに半導体用ウエハでライバルのSUMCOは、太陽電池用材料事業で増設を進めている。信越化学も本格参入となれば、業態はどうなるのか。金属シリコンへ国内で再参入するなら30年ぶり、多結晶シリコン鋳塊へ再参入するなら20年ぶりとなる。ウエハにしても、まったくの新規参入ではない。すでに連結子会社の信越フィルムが94年から手掛けており、「太陽電池に関する研究開発も着々と進めてきた」(信越化学)。あとは本格参入のタイミングを計るだけとなっている。

日本の太陽電池メーカーにとっても渡りに舟だろう。欧米・アジア勢に一気に抜かれた日本の太陽電池セルメーカー。05年に24・3%を誇ったシャープの世界シェアは、07年に8・5%まで低下。首位の座を独キューセルズに明け渡した。国内大手の京セラ、三洋電機も同期間に順位を大幅に下げ、シェアをほぼ半減させている。

敗因は、原材料であるシリコンの慢性的な不足だ。欧州では再生可能エネルギーの買い取り価格を法律で定めた助成策(フィード・イン・タリフ)を背景に、相次ぎシリコンの長期契約を結んでいる。アジアでは太陽電池専業の中国サンテックパワーなどが、高値にもかかわらず大量調達に乗り出している。一方、後手に回った日本メーカーは“買い負け”を強いられ、この結果である。

07年時点で日本の多結晶シリコン鋳塊生産能力は、推計で世界の22・4%にすぎない。新金属協会の統計によれば、07年に太陽電池材料の約半分を占める多結晶シリコン鋳塊の輸入価格は、1キログラム当たり8872円と前年比36・1%も高騰した。太陽電池用もハネ上がったのは言うまでもない。信越化学の太陽電池材料への本格参入は、シリコン不足に泣いてきた日の丸ソーラー勢にとって大きな援軍となることは間違いなさそうだ。

社長就任から20年近くが経った金川社長。太陽電池用材料事業は次世代への贈り物となるだろう。遠くない日に、決断が下されるはずだ。

(二階堂遼馬、石井洋平 =週刊東洋経済)

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