「ゾンビ施設」増殖で地方は大変なことになる 学校だけでも年間500校も廃校になっている

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それがこの2、3年、情報が公開されるようになったことで潮目が変わってきた。公平性を担保するため、と以前は事前に情報を出すことはタブーとされたが、最近ではあらかじめ目星をつけた企業に打診し、反応を聞いてから条件を設定するなど柔軟なやり方で利活用案を公募する例が出てきた。

行政職員が営業に回ったり、民間と使い方を考えるワークショップを開催したりという動きも出てきている。国土交通省も2016年に公的不動産(PRE)ポータルサイトを設立。今後3年で、民間に売却する以外の活用が一気に進むだろうと馬場氏は予測する。

「箱ありき」という大きな意識が強い

もちろん、建物、立地、費用対効果などの問題から、活用したくてもできない物件も少なくない。活用できるとしても、大きな問題が1つある。まずは箱を作って、運営はそれから考える、という意識の問題だ。馬場氏は現在、佐賀市で小学校をホテルに変える改修を行っているが、そこで設計と同時に運営者を一緒に募集してほしいと提案をした。民間だったら当然の考え方だ。

だが、行政の仕事では、運営者が決まっていないのに改修を先に行うプロジェクトは当たり前にある。佐賀市も当初は箱を作った後にソフトというつもりだったようだが、馬場氏の提案を積極的に受け入れたという。ただ、ほかの自治体を見ると「ハード先行・ソフト軽視」の考えは根深い。

「20世紀のプロジェクトは計画する→作る→使うという流れで生まれた。21世紀はそれが逆転していて、使う人が何をやるか→どう作るか→どう計画するかという流れになっている。地方ではそもそも使う人が見つからないことが多い。それを見ないふりをして、とりあえず箱さえ作ればなんとかなる、という考えはもう通用しません」と馬場氏は話す。

活用以前の問題もある。管理だ。マンションに住んでいる人なら建物を維持していくためには長期修繕計画が重要で、そのために定期的に大規模修繕が行われていることをご存じだろう。だが、驚くことに多くの地方公共団体はそうした計画を作っていない。

前述の総務省の「公共施設等総合管理計画」策定の要請を受けて、作り始めてはいるが、建築保全センターの2016年自治体ストック調査によると全体計画、個別施設計画をともに策定している自治体はわずかに5.6%。ほとんどの自治体が壊れたら直す、市民から文句が出たら修理する、といった場当たり的な対処から脱却できていないのである。

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