陸自の攻撃ヘリ部隊は、すでに瓦解している 墜落事故を機に長年の課題に向き合うべきだ
2月5日、佐賀県神埼市の住宅街に陸上自衛隊目達原駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)所属の「AH-64D(アパッチヘリコプター)」が墜落する事故が発生。乗組員2人が死亡し、激突して炎上した住宅の小学5年生の女児が軽傷を負った。
この事故に関して筆者は複数の陸自航空隊OBに意見を求めた。そうしたところ、見解はほぼ同じ。整備後は地上で十分な試運転を行っており、その後飛行試験をするため、整備不良であれば地上試験で気がつくはずで、部品の不良を疑うべき、とのことだ。いまだ調査の結果が出ておらず、現段階で原因などを安易に推測するのは避けるべきだが、部品不良の可能性は高いといえるのだろう。
調達価格が予定外の高騰
今回の事故を機に、陸自のヘリに対する関心が高まっている。この機会に、AH-64Dそのものの問題、さらにはヘリ部隊の運用全体の問題について論じたい。
陸上自衛隊は2002年からAH-64Dの導入を、富士重工(現SUBARU<スバル>)のライセンス生産により開始した。当初62機を調達する予定だったが、陸幕(陸上自衛隊幕僚監部)は調達開始からまもない2006年ぐらいから、急に調達をやめると言い出した。
その理由について陸幕は、米国が64D型から64E型に移行して追加発注ができなくなる、部品がなくなる、調達価格が予定外に高騰した、などと説明してきた。
だが内部関係者によると、調達をやめた最大の理由は、ボーイング社がアパッチの生産を終了すると聞いて狼狽したからだ。ボーイング社は韓国が採用したF-15Kのオフセットとして2003年からアパッチの組み立てラインを韓国に移管したが、2006年から新規の胴体の製造が止まり、D型からE型へのアップグレードだけに対応することになった。
だが、「実は生産ラインが止まるまで相当期間があり、それまでのペースで調達しても30機程度は調達できた。一部を安い輸入に切り替えれば予定数はほぼ調達できたはずだ」と当時の調達関係者は語る。
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