完全飽和の私大600校を襲う大淘汰の幕開け 18歳人口の減少が2018年から再び加速

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上位校をも巻き込む生き残り競争が始まっている(写真:Graphs / PIXTA)

全国に600校余りある私立大学に、「2018年問題」という大波が押し寄せようとしている。

大学の「主要顧客」である18歳人口は、ピーク時の1992年に200万人を超えていたが、その後減少に転じ、2017年のそれは120万人へ4割減少した。2000年代後半に減少ペースはいったん鈍ったが、2031年には100万人を切る。「2018年問題」とは、18歳人口の減少スピードが2018年に再び加速することにより、私立大学の経営を大きく直撃するという問題を指す。

 

2月5日発売の『週刊東洋経済』は、「大学が壊れる」を特集。資金不足で疲弊する国立大学や、18歳人口の減少でいよいよ淘汰の時期を迎えた私立大学の実情を追っている。子どもの数は減り続けているのに、大学数は右肩上がり。1980年に446校だった大学は2016年には約1.7倍の777校へ増加、学部の新増設は毎年のように続く。大学と学生の需給バランスがこれほど悪化しているのに、経営破綻した大学数は意外と少ないといえるが、「予備軍」は着々と増えている。

「レッドゾーンは21法人、イエローゾーンは91法人」

『週刊東洋経済』2月5日発売号(2月10日号)の特集は「大学が壊れる」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

2017年末、こんな衝撃的な見出しが新聞紙上に踊った。私立大学の経営を指導している日本私立学校振興・共済事業団が、私立の大学・短期大学を経営する全国660の学校法人の2016年度までのデータを調べたところ、自力再生が極めて困難な「レッドゾーン」、経営困難状態である「イエローゾーン」の法人合計で全体の2割弱に上ることがわかった。

同事業団の野田文克・私学情報室長は「過大な設備投資をした年は運用資産が減るため、経営状態が一気に悪化する。(上記のシミュレーションは)あくまで大ざっぱなもので、赤字だから即破綻ということではない」と指摘する。

ただ、私立大の本業である教育研究活動のキャッシュフローでみると、過去2期赤字の私立大は週刊東洋経済2月5日号で編集部が試算した限りでも約50法人に及ぶ。企業と異なって巨額の有利子負債を抱える法人は少ないが、教育研究活動の収入に対するキャッシュフロー赤字の割合が数十%に上る法人もいくつか存在する。

【3月9日15時33分追記】記事初出時に上の段落内にあった「地方の下位大学ばかりではない。国際基督教大学のような都内の有名私大も含まれている」を削除しました。国際基督教大学は、教育研究活動のキャッシュフローより基金運用を重視した財務モデルを採用しているためです。

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