消費増税の決定間際に確認したTANKAN

大企業の業況判断はリーマンショック後で最高の水準に


 また、業況判断DIには回答時点の「最近」と3カ月後を示す「先行き」の二種類がある。そして、「先行きのDIが次の調査回の最近のDIを常に正確に予測しているわけではない」(『日銀レビュー』の「短観の読み方」)という点にも注意を要する。

先行きDIは悪化、回復持続に一抹の不安

先行きのDIが必ずしも”正確でない”業種として挙げられるのが自動車だ。例えば、6月調査で自動車の先行きDIはプラス14(最近のDIはプラス16)だったが、9月調査の最近のDIはプラス27と、悪化を見込んでいたのとは逆に大幅に改善した。今回も先行きDIはプラス13と、7四半期連続で悪化を見込んでいる。だが、過去のデータを見ると、3カ月後はほとんど業況判断が先行きDIよりも上振れている。つまり、大企業の自動車セクターは先行き見通しに非常に慎重な業種なわけだ。

 先の『日銀レビュー』によれば、過去の短観のDIから分析すると、大企業製造業の先行きの業況判断DIは、景気拡大局面ではやや慎重な見方になる傾向がみられるという。今回の9月調査でも最近のDIはプラス12と大幅に改善した一方、先行きDIはプラス11と若干の悪化を見込んでいる。6月調査では最近のDIがプラス4で先行きがプラス10とさらなる改善を予想していたが、「そろそろ回復基調も一服か」という見方に変わってきたといえる。

 過去の傾向からすれば、こうした悪化予想は慎重な見方であり、3カ月後には上振れる可能性が高い。そうはならず、実際に景気回復トレンドが一服し、停滞する状況に陥って困るのは、ほかならぬ、14年4月の消費増税を決断した安倍首相だろう。今回だけでなく、消費増税を実施するまで、統計の”王様”である短観の動向からは、安倍首相も目が離せそうにない。

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