トヨタと日産がCESで見せた将来への布石 使い手の発想次第で広がるインフラ構想

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今年1月にラスベガスで開かれたCESのトヨタブース(撮影:印南 志帆)

世界の自動車市場をめぐる昨年の動向を振り返ると、政治的な采配の影響が見え隠れする欧州自動車メーカー勢の急激なEV(電気自動車)シフトの動きに対して、「日本メーカーは大丈夫か?」「遅れているのでは?」というような意見や風潮が、夏以降に加速し始めた。しかもEVに加えてAI(人工知能)や自動運転を踏まえた次世代自動車事業に、ダイソンなど他業種からの新規参入を表明する動きもあり、それら心配の声はさらに大きくなった。

「明確なるEVシフトは起きるのか?」という点も重要だが、それはまたの機会として、そもそも今まで自動車“社会”を豊かに繁栄させてきた日本の自動車メーカーが何も動いていないワケではない。

周りの心配の声の大きさに反応したと思える昨年末にかけてトヨタはハイブリッドという電動化自動車を世界で最も販売しながら培ってきた自身のEV技術を改めて世にアピールした。さらにパナソニックとの電池事業での協業を発表するなど活発な動きを示しだした。

しかし、それはまだ序章に過ぎなかった。

日本の自動車メーカーの底力

年が明けて今年1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。そこで見えてきたのは、日本の自動車メーカーの底力だ。

そもそもCESとは家電見本市だ。世界中の電気系の最先端技術がそこに集まる。その中身は展示会要素が強く、すでに販売している商品アピールもあるものの、業種を超えた各メーカーの実現可能な最先端技術のアピールの場であり、そこから協業してより魅力的な次世代商品を生み出すキッカケの場としても使われている。

そこで日本の技術力、発想力の高さを、クルマに関わる分野として2つ紹介しよう。一つは日産がCESに合わせるように発表した「Brain-To-Vehicle」と呼ばれる技術だ。

これはその言葉のとおり、人間の脳と運転を繋ぐ技術である。人工知能を使った自動運転の先の世界での優位性や個性的な商品力の確保に役立つ。具体的には、将来ビッグデータを活用した賢い電子頭脳が最適な運転をしてくれるようになるのだろうが、どんなに賢くなろうともその運転に違和感を得るときはあるはず。

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