iPhone 5sが7割以上?
2機種が発売されるという初めての展開を見せたアップル。注目は、どこで、なにが売れたのか、ということだ。iPhone 5sをハイエンド、iPhone 5cをローエンド改めミドルレンジとして位置づけたアップル。先進国ではiPhone 5sが、中国をはじめとする新興国ではiPhone 5cがそれぞれ中心となると考えられてきた。
モバイル分析の企業Localyticsによると、アクティベーションの分析から、少なくとも発売の初速では、世界中でiPhone 5sが好まれたようだ。 同社は、米国市場では、iPhone 5sがiPhone 5cの3倍以上が稼働していると分析している。第2の市場となる日本では、その傾向はさらに強まり、西ヨーロッパ、オーストラリア、カナダ、中国でも発売直後のiPhone 5cはごくわずかという結果だ(参考記事はこちら)。
より細かく、国ごとにiPhone 5sとiPhone 5cの割合を分析したグラフを見てみると、中国でiPhone 5s比率は91%にも上る。日本は83%、米国とフランスが76%、英国は69%という結果だった(参考記事はこちら)。
こうしてみると、iPhone 5cよりもハイエンドのiPhone 5sが人気を集め、その傾向が最も強いのが中国、iPhone 5cに理解を示すのはむしろ欧米という結果になった。「廉価版」という言葉に踊らされていたが、iPhone 5cにより反応を示すのは先進国が先になった点も、注目すべきだろう。
年末にかけて、第2弾ロケットが放たれる?
テクノロジーの世界で新しいモノに飛びつくアーリーアダプターは、より最先端の面白いモノを求める。iPhone 5sは64ビットA7プロセッサ、指紋認証のTouchID、カメラ機能と、目玉機能の数は少ないが、これまでのiPhoneの中で最も充実した1台となった。筆者も含むこうしたユーザーが行列をしてまで買おうとするのは、確かにiPhone 5cではない。そういう意味で、品薄ぎみの中、900万台という数字をたたき出したのは、予想以上だった。
しかし2013年のアップルはこれで終わりではないだろう。
今回セールス面で表に出てこなかったiPhone 5cは、アーリーアダプターこそ手を出さないものの、11月下旬のサンクスギビングから12月下旬のクリスマスにかけて、最も消費が盛り上がるホリデーシーズンに欲しいものリストの上位に食い込むことが予想されるからだ。だとすると、iPhone 5cのセールスはこれから2013年末までが大きな山となる。
9月20日の発売日のiPhone 5sの山に加えて、今年は年末に向けて、iPhone 5cの山も待ち受けている。アップルのiPhoneを2機種出す戦略は、そんな2弾ロケット式の施策になったのではないか、と考えている。決算の締め日を考えても、iPhone 5sは9月末締めの決算、iPhone 5cは12月末締めの決算のセールスを組み立てる形で、それぞれの期間で、iPhone販売3500万台以上、4000万台代に乗せられるかどうかに注目して行くべきだろう。
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