外務省は「東シナ海」を「東海」と呼んでいた 2001年の公文書に残された不都合な真実
しかし海上保安庁に問い合わせたところ、日本政府が過去に使用した海図で「東海」の呼称を用いた例は見つかってはいない。
一方、「東シナ海」を「東海」として記載した条約はひとつだけある。2000年6月に発効した「日中漁業協定」だ。
同協定の第7条(b)には「北緯二十七度以南の東海の協定水域及び東海より南の東経百二十五度三十分以西の協定水域(南海における中華人民共和国の排他的経済水域を除く)」と記されている。同じ協定の中国側の条文も「东海(東海の簡化体表記)」の記載となっており、どこにも「東シナ海」の記載がない。ここでは完全に「東シナ海」は消し去られていることになる。
「東海」の使用は慣例といえるのか
また丸山報道官は「これまでも東シナ海と同一の海域を指すということから、慣例上使われてきた。我々は慣例も踏まえてこの呼称を用いることになってきた」と述べている。
しかし、慣例として成立するには、一定の期間とそれを用いた一定数以上の例が必要なのではないか。
「東海」の使用例が同時期に公表された2例しかなかったが、はたしてそれで「慣例」は成り立つのだろうか。そして2000年の条約で「東海」を用いたあと、再度「東シナ海」の呼称が復活したわけだが、なぜ「慣例」は破られたのか。そのあたりの経緯が不明瞭だ。
くしくも日中漁業協定が発効した2000年6月および口上書が締結された2001年2月に外務大臣の任にあったのは、河野外相の父である河野洋平氏だ。河野氏といえば、宮沢政権の官房長官時代に出した「河野談話」が閣議決定を経ていないにもかかわらず、慰安婦問題を根付かせた一因にもなってきた。
その長男である河野外相はいま、慰安婦合意や北朝鮮問題で正論を述べることでポスト安倍のポジションを得つつある。はたしてこの問題にどう対処するのか。
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